応用情報処理技術者試験の対策サイトです。 応用情報処理技術者試験の午前問題を中心とした基礎用語の解説を中心に掲載します。書き始めたばかりなので、内容はまだまだ不十分です。
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8.システム開発 > 8.5 詳細設計

日本工業規格(JlS)では、ソフトウェアの品質特徴を、機能適合性,性能効率性,互換性,使用性,信頼性,セキュリティ,保守性、移植性の8つに分類しています。さらに、各特性は関連する副特性があります。たとえば、「信頼性」の副特性として、故障発生時に回復できる度合いを示す「回復性」や、システムをどれだけ利用できるかという「可用性」などがあります。
これらを全て覚える必要はありません。代表的なものとして、以下の3つを覚えておきましょう。

品質特性

概要

評価指標の例

/頼性

故障が発生しないことやバグが少ないなど、システムがどれだけ信頼できるか

運用期間中の停止時間

∧歇蘋

ソフトウェアの修正のしやすさ、効率性

修正1件あたりにかかる時間

使用性

利用者にとっての使いやすさの度合い

機能の使い方を学ぶのに必要となる時間


シラバスでは以下の記載があります。
(9)ソフトウェア品質
JIS X 25010(ISO/IEC 25010)で規定されているシステム及びソフトウェア製品の品質特性を理解し,要件定義や設計の際には品質特性を考慮することを理解する。
用語例 JIS X 25010(ISO/IEC 25010),ISO 9000

利用時の品質モデル
システムとの対話による成果に関係する五つの特性である,利用時の品質モデルを理解する。
用語例 有効性,効率性,満足性,リスク回避性,利用状況網羅性

製品品質モデル
システム及び/又はソフトウェア製品の品質特徴(品質に関係する測定可能な特徴とそれに伴う品質測定量)を八つに分類した製品品質モデルを理解する。また,各特性は関連する副特性の集合から構成されていることを理解する。

用語例 機能適合性,性能効率性,互換性,使用性(習得性,運用操作性,アクセシビリティほか),信頼性(可用性,回復性ほか),セキュリティ,保守性(解析性,試験性ほか),移植性

過去問を見てみましょう。
◆H25春AP
問46 ソフトウェアの使用性を評価する指標の目標設定の例として,適切なものはどれか。
ア ソフトウェアに障害が発生してから1時間以内に,利用者が使用できること
イ 利用者が使用したい機能の改善を,1週間以内に実装できること
ウ 利用者が使用したい機能を, 100%提供できていること
エ 利用者が,使用したいソフトウェアの使用方法を1時間以内に習得できること

◆H23秋AP ★図を直す
問46 表は,あるソフトウェアにおける品質特性の測定方法と受入れ可能な基準値を示している。a~cに入る品質特性の組合せはどれか。
a
品質特性 測定方法 受入れ可能な基準値
機能性 必須な要求仕様のうち,ソフトウェアで実現できた仕様の割合 100%
a 特定の機能の使い方を学ぶのに必要となる時間 10分未満
b 識別された類似の変更に対して変更が必要となるモジュール数 1モジュール
C システムに処理を要求してから,応答が返ってくるまでの時間 5秒未満
信頼性 特定の運用期間中の停止時間 年間8時間以内
移管吐 他のOS上で動作させるために再コンパイルが必要なモジュール数 6モジュール未満
 a b C
ア 効率性 使用性 保守性
イ 効率院 保守性 使用性
ウ 使用性 効率性 保守性
工 使用性 保守性 効率性

正解:エ

プログラムは独立性の高いモジュールに分割して構築すると効率的です。

応用情報技術者試験を勉強する成子 

何がどう効率的なんですか?




たとえば電化製品を思い浮かべてみよう。
スマホでもいいのですが、いくつもの部品に分かれているので、故障時にはたとえば電池パックやSIMだけ交換するなどが可能。全部が一体型であれば、それは不可能です。
分かれているので、開発も楽だし、他への応用も可能(たとえば、電池は同じものを他の機種でも同じものにする)です。

過去問(H17秋FE午前問41)では、「ソフトウェアのモジュール設計において,信頼性,保守性を向上させるためのアプローチとして,望ましいものはどれか」という問で、「イ モジュール強度を強く,結合度を弱くする」が正解選択肢になっています。ここにあるように、信頼性や保守性の観点でも、適切なモジュール分割は重要です。

モジュール分割手法
ではモジュールをどのように分割するか。それがモジュール分割技法である。まずは、過去問(H28秋AP午後問8より)を見てみましょう。
モジュール分割手法には,データを処理するトランザクションに着目して一連の処理をトランザクション単位にまとめてモジュールに分割する[ TR分割 ],データの流れに着目してデータの入力・変換・出力の観点からモジュールに分割する[ STS分割 ],データ構造に着目して入力データ構造と出力データ構造の対応関係からモジュールに分割する[ ジャクソン法 ]などがあることが分かった。

STS分割
STSは入力(Source)、変換(Transform)、出力(Sink)を意味します。
過去問では、「STS 分割は,プログラムをデータの流れに着目して分割する技法であり,入力データの処理,入力から出力への変換及び出力データの処理の三つの部分で構成することで,モジュールの独立性が高まる。(H20共通午前問14)」STS分割は,データの流れに着目してプログラムを分割する技法であり,入力データの処理,入力から出力への変換処理及び出力データの処理の三つの部分で構成することによって,モジュールの独立性が高まる。(H28秋SA午前玉7)」とあります。

TR分割(Transaction division)
「データを処理するトランザクションに着目して一連の処理をトランザクション単位にまとめてモジュールに分割する(H28秋AP午後問8より)」です。

◆モジュール分割の基準
モジュールの独立性(モジュールの強度や結合度)が一つに基準になる。たとえば、結合度が強いモジュールは分割したほうがよい。

(1)モジュールの強度と結合度
 ソフトウェアの開発において、機能のまとまりをモジュールと言います。たとえば、販売管理システムでは、ログイン機能、検索機能、登録機能、メール送信機能など、いくつかのモジュールに分割できます。さらに、ログイン機能は、IDとパスワード入力、パスワード照合、エラー処理、などに分割できます。
a
 ソフトウェアを適切なモジュールに分割することは、信頼性や保守性を向上させることができます。分かりやすい例として、スマートフォンを思い浮かべてください。スマートフォンは、電池パックやインターネットに接続するSIMカードが分離されています。ですから、仮にそれらが故障したとしても、電池パックやSIMだけを交換すればいいのです。保守性が高くなりますよね。仮に一体型であれば、修理を待つ時間が必要です。スマートフォンを利用できない時間が長くなり、信頼性も落ちてしまうのです。

(2)望ましいモジュールの分割のありかた
モジュール強度(結束度)を強くし、結合度を弱くすることです。具体的に説明します。

モジュールの強度
 モジュールの強度は、1つのモジュール内での観点での内容です。具体的には、1つのモジュールが単一の機能だけのもの(「機能的強度」と言います)が最も強度が高く、望ましいあり方です。逆に、複数の機能で構成されるモジュールは、強度が弱くなります。

モジュールの結合度
 結合度は、複数のモジュールとの関連性の観点での内容です。関連性が弱い、つまり、他のモジュールの依存しないものが望ましいあり方です。一つ例を挙げます。あるモジュールAが、別のモジュールBの内容を直接参照していたとします(「内部結合」と言います)。すると、モジュールBの仕様が変わると、それに合わせてモジュールAも変更しなければいけません。
ですので、モジュール間では、必要なデータ項目だけを引数で渡す(「データ結合」と言います)のが望ましい姿です。
aa


H29秋AP午前
問46 モジュール設計に関する記述のうち,モジュール強度(結束性)が最も強いものはどれか。
ア ある木構造データを扱う機能をこのデータとともに一つにまとめ,木構造データをモジュールの外から見えないようにした。
イ 複数の機能のそれぞれに必要な初期設定の操作が,ある時点で一括して実行できるので,一つのモジュールにまとめた。
ウ 二つの機能A,  Bのコードは重複する部分が多いので,A,  Bを一つのモジュールにまとめ,  A,   Bの機能を使い分けるための引数を設けた。
エ 二つの機能A,  Bは必ずA,  Bの順番に実行され,しかもAで計算した結果をBで使うことがあるので,一つのモジュールにまとめた。

解説
単一の機能だけのものが、最も強度が強いモジュールです。
イ、ウ、エは、複数の機能を一つのモジュールにまとめているため、アに比べて強度は弱くなります。

モジュールの強度は以下です。
機能的強度>情報的強度>連絡的強度>手順的強度>時間的強度>論理的強度>暗合的強度 

以下に、過去問での表現を引用しながら整理します。
強度 分類 概要
機能的強度 ・単一の機能だけに絞ったモジュール。
・過去問では、「単一の機能を実行するモジュール(H22春AP午前問45より)」
情報的強度 ・同一のデータを扱う機能をまとめたモジュール。
・過去問では、「同一の情報を扱う複数の機能を,一つのモジュールにまとめている。モジュール内に各処理の入口点を設けているので,制御の結びつきがなく,これ以上のモジュール分割は不要である(H23秋FE午前問45より)」
・「ある木構造データを扱う機能をデータとともに一つにまとめ,木構造データをモジュールの外から見えないようにした(H25秋SA午前2問6より)」
連絡的強度 ・手順的強度と同様に一連の手順の機能をまとめ、しかもモジュール内でのデータ受け渡し(連絡)があるモジュール。
・過去問では、「モジュール内でデータの受渡し又は参照を行いながら,複数の機能を逐次的に実行している。再度見直しを図り,必要に応じて更にモジュール分割を行った方がよい(H23秋FE午前問45より)

・「二つの機能A,Bは必ずA,Bの順番に実行され,しかもAで計算した結果をBで使うことがあるので,一つのモジュールにまとめた(H25秋SA午前2問6より)」
手順的強度 ・一連の手順の機能をまとめたモジュール。
・過去問では、「あるデータを対象として逐次的に複数の機能を実行するモジュール(H22春AP午前問45より)」。
時間的強度 ・ある時点で必要な機能をまとめたモジュール。
・過去問では、「特定の時点で必要とされる作業のすべてを含んでいるモジュール(H22春AP午前問45より)」
・「複数の機能のそれぞれに必要な初期設定の操作が,ある時点で一括して実行できるので,一つのモジュールにまとめた(H25秋SA午前2問6より)」
論理的強度 ・論理的に関連した機能をまとめたモジュール。
・過去問では、「関連した幾つかの機能を含み,パラメタによっていずれかの機能を選択して実行している。現状では大きな問題となっていないとしても,仕様変更に伴うパラメタの変更による影響を最小限に抑えるために,機能ごとにモジュールを分割するか,機能ごとの入口点を設ける方がよい(H23秋FE午前問45より)」
・「ニつの機能A,Bのコードは重複する部分が多いので, A, Bを一つのモジュールとし, A, Bの機能を使い分けるための引数を設けた(H25秋SA午前2問6より)」
暗合的強度 ・暗号ではなく、暗合。脈絡のないまとめ方をしたモジュールと考えればいい。
・過去問では、「モジュール内の機能間に特別な関係はなく,むしろ他のモジュールとの強い関係性をもつ可能性が高いので,モジュール分割をやり直した方がよい(H23秋FE午前問45より)」

以下、補足です。

1)機能的強度
過去問(H26秋SA午前玉筍機砲鮓てみましょう。
問5 図は,商品の受注処理を行うプログラムのモジュール構成図である。a〜dのうち,機能的強度のモジュールはどれか。
a
ア a  イ b   ウ c  工 d
正解は、cです。顧客レコードを更新するという単一の機能だけを実現しています。
それ以外は、複数の機能を持っています。

2)情報的強度
過去問では「同一の情報を扱う複数の機能を,一つのモジュールにまとめている。モジュール内に各処理の入口点を設けているので,制御の結びつきがなく,これ以上のモジュール分割は不要である(H23秋FE午前問45より)」とあります。オブジェクト指向のカプセル化の考え方です(※要確認)

6)論理的強度
過去問(H23秋FE午前問45)を見てみましょう。
モジュール設計書を基にモジュール強度を評価した。適切な評価はどれか。
〔モジュール設計書(抜粋)〕
上位モジュールから渡される処理コードに対応した処理をする。処理コードが”I"のときは挿入処理、処理コードが"U"のときは更新処理、処理コードが"D”のときは削除処理である。


この正解選択肢が以下です。
「これは論理的強度"のモジュールである。関連した幾つかの機能を含み、パラメタによっていずれかの機能を選択して実行している。現状では大きな問題となっていないにとしても、仕様変更に伴うパラメタの変更による影響を最小限に抑えるために、機能ごとにモジュールを分割するか入口点を設ける方がよい。」
応用情報技術者試験を勉強する成子 

たくさんあって、覚えられません。
応用情報のシラバスのキーワードでは、「機能的強度」と「情報的強度」しかありません。なので、その2つ(特に機能的強度)だけを覚えておけば、合格ラインである6割を突破するのには十分だと思います。

過去問
■H22春AP午前
問45 モジュールの結束性(強度)が最も高いものはどれか。
ア あるデータを対象として逐次的に複数の機能を実行するモジュールイ 異なる入力媒体からのデータを処理するモジュール
ウ 単一の機能を実行するモジュール
エ 特定の時点で必要とされる作業のすべてを含んでいるモジュール


■H25秋SA午前2
問6 モジュール設計に関する記述のうち,モジュール強度(結束性)が最も強いものはどれか。
ア ある木構造データを扱う機能をデータとともに一つにまとめ,木構造データをモジュールの外から見えないようにした。
イ 複数の機能のそれぞれに必要な初期設定の操作が,ある時点で一括して実行できるので,一つのモジュールにまとめた。
ウ ニつの機能A,Bのコードは重複する部分が多いので, A, Bを一つのモジュールとし, A, Bの機能を使い分けるための引数を設けた。
工 二つの機能A,Bは必ずA,Bの順番に実行され,しかもAで計算した結果をBで使うことがあるので,一つのモジュールにまとめた。

モジュールの結合度が弱く、強度が強いのが良い設計である。
モジュールの結合度とは、文字通り、他のモジュールとの結合の度合いのことです。
モジュールがそれぞれ独立しており、引数をつけて渡すだけなので、様々なプログラムとの連携がしやすい。また、プログラム変更があっても簡単に行えます。
結合度 分類 説明
内部結合 別のモジュールの内部の情報を直接参照するなど、モジュールの結合性が高いもの
共通結合 「共通域に定義したデータを関係するモジュールが参照する(H28春FE午前問47より)」
外部結合 「必要なデータを外部宣言して共有する(H28春FE午前問47より)」
「単一のデータ項目を大域的データで受け渡す。(H28春AP午前問47より)」
制御結合 「制御パラメタを引数として渡し,モジュールの実行順序を制御する(H28春FE午前問47より)」
スタンプ結合 「データ構造を引数で受け渡す(H28春AP午前問47より)」
データ結合 「入出力に必要なデータ項目だけをモジュ―ル間の引数として渡す(H28春FE午前問47より)」
「単一のデータ項目を引数で受け渡す(H28春AP午前問47より)」。
 
応用情報技術者試験を勉強する成子

応用情報のシラバスのキーワードでは、何が記載されていますか?




「データ結合」と「制御結合」の2つだけです。
その2つ(特にデータ結合)だけを覚えておけば、合格ラインである6割を突破するのには十分だと思います。

◆H21応用情報/秋問45
モジュール結合度が最も弱いモジュールはどれか
↓単一データ項目を引数で受け渡すモジュール(正解)
↓データ構造を引数受け渡すモジュール
↓単一データ項目を大域的データで受け渡すモジュール
↓データ構造を大域的データで受け渡すモジュール

※上記の大域的というのは、メールアドレスしか必要ではないのに、「氏名、TEL、メールアドレス」などたくさんの情報を渡すことと考えている。

以下は頭の中の整理用。情報処理試験では、「データ結合」「スタンプ結合」などのキーワードは使われない。
例として、顧客一覧から該当顧客へメール送信という仕組み。

1)データ結合:引数渡し
顧客一覧モジュールからメール送信モジュールへメールアドレスの値
のみを渡す。※顧客一覧モジュールの仕組みが大きく変わっても良い。
2)スタンプ結合:データ構造と引数を渡す。
顧客一覧からは、「氏名、TEL、メールアドレス」などたくさんの情報を渡す仕組みになっているが、データ属性を渡すので、受け側であるメール送信モジュールはデータ属性をみて判断できる。
たとえば、
name,鈴木
tel,03-111-222
mail,suzuki@mail.dom
※データ結合に比べて、受け側のメール送信モジュールでは作りこみがいる。
3)外部結合:DB参照のようなもの
メール送信モジュールから顧客一覧のDBを参照する。
Select mailaddress FROM 顧客一覧。
※顧客一覧のDB構造が変わらなければよいが、DB構造が変わるとメール送信モジュールも変更する必要あり
4)内部結合:メール送信モジュールが直接
顧客一覧の内部を参照する。
たとえば、顧客一覧の内部構造上の表記でメールアドレスを取得したり、顧客一覧画面で入力したメッセージなどを利用する。
※顧客一覧を作り変えたらメール送信モジュールも作り直す必要がある。これは大変

H26春AP午前
問46 モジュール分割の良否を,モジュール結合度の視点から評価する場合,最も適切な記述はどれか。
ア 共通データ領域は,全てのモジュールからアクセスできるようになっていることが望ましい。
イ ソフトウェア全体のモジュール分割の良否は,モジュール間の結合度のうちで最も強いものがどのように分布しているかで判断するのが望ましい。
ウ 直接の呼出し関係になっていないモジュール間で情報を交換するには,共通データ領域を用いるのが最も望ましい。
エ 呼び出す側と呼び出される側のモジュール間のデータの受渡しは,引数としてデータ項目を列挙するのが最も望ましい。
正解は、エ

過去問

■H23秋SA午後
問5 モジュールの独立性を高めるには,モジュール結合度を弱くする必要がある。モジュール間の情報の受渡し方法のうち,モジュール結合度が最も弱いものはどれか。
ア 共通域に定義したデータを関係するモジュールが参照する。
イ 制御パラメタを引数として渡し,モジュールの実行順序を制御する。
ウ 入出力に必要なデータ項目だけをモジュール間の引数として渡す。
工 必要なデータを外部宣言して共有する。
H20秋SW午前
問45 モジュール結合度に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア あるモジュールがCALL命令を使用せずにJUMP命令でほかのモジュールを呼び出すとき,このモジュール間の関係は,外部結合である。
イ 実行する機能や論理を決定するために引数を受け渡すとき,このモジュール間の関係は,内容結合である。
ウ 大域的な単一のデータ項目を参照するモジュール間の関係は,制御結合である。
エ 大域的なデータを参照するモジュール間の関係は,共通結合である。

問8 モジュール分割に関する次の記述を読んで,設問1〜4に答えよ。

 E社は,英会話教室や料理教室などのカルチャースクール向けにSaaSを提供する会社である。E社のサービスは,画面デザインやシステム機能を顧客向けにカスタマイズできる点が人気を集めており,約100社の顧客が利用している。E社のサービスを提供するシステムには,顧客向けのカスタマイズを容易にするために,システム機能の部品化による高い再利用性が求められている。
 E社では,ビジネス拡大を目的としてスポーツクラブ向けの施設利用状況管理サービスを提供することになった。施設利用状況管理サービスを提供するシステム(以下,新システムという)の開発は,E社開発部のF君が担当することになった。


〔新システムの概要〕
 新システムは,会員管理機能,利用管理機能,利用状況集計機能の三つの機能を提供する。会員管理機能は,会員の氏名や連絡先などの情報を登録・更新・削除する機能である。利用管理機能は,スポーツクラブの店に設置する受付機を用いて,会員の利用施設や利用開始・終了日時などの施設利用実績を記録する機能である。利用状況集計機能は,各施設の利用状況を集計してレポート出力する機能である。

〔新システムのプログラムの開発方針〕
 F君は,E社のサービス提供方法を考慮したプログラムの開発方針を策定し,上司の承認を得た。F君が策定したプログラム開発方針を図1に示す。
・顧客向けのカスタマイズが容易となるように,また,特定モジュールへのカスタマイズが他のモジュールに与える影響が最小となるように,モジュール分割を行う。
・特定顧客向けに開発したモジュールが他顧客にも利用できるように,共通機能をモジュール化し,モジュール強度を高め,モジュール結合度を下げる。
図1 プログラム開発方針


〔モジュール分割手法の選定〕
 F君は,新システムのモジュール設計を行うに当たり,モジュール分割手法の調査を行った。モジュール分割手法には,データを処理するトランザクションに着目して一連の処理をトランザクション単位にまとめてモジュールに分割する[  a  ]。
データの流れに着目してデータの入力・変換・出力の観点からモジュールに分割する[  b  ],データ構造に着目して入力データ構造と出力データ構造の対応関係からモジュールに分割する[  c  ]などがあることが分かった。
 F君は,新システムは,会員の施設利用実績データを蓄積し,それを集計した結果をレポート出力するので,[  c  ]が最適な手法であることを調査報告書にまとめ,上司の承認を得た。

〔利用状況集計機能の入出力データ分析〕
 利用状況集計機能のプログラムは,施設利用実績データを集計し,店ごとに施設の利用状況をレポート出力する。
 プログラムへの入力は,受付機で記録した施設利用実績データである。プログラムからの出力は,店ごとの施設の月間利用者数,最多利用者情報などを記載した施設利用レポートである。施設利用実績データの例を表1に,施設利用レポートの例を図2に示す。
H28春AP午後問8_表1

H28春AP午後問8_図2

 F君は,プログラムへの入出力データの分析を行い,入力データ構造図及び出力データ構造図を作成した。F君が作成した入力データ構造図を図3に示す。
H28春AP午後問8_図3

〔利用状況集計機能のプログラム構造の設計〕
 F君は,〔利用状況集計機能の入出力データ分析〕の結果を基に,プログラム構造の設計を行った。F君が設計したプログラム構造図を図4に示す。
H28春AP午後問8_図4


〔利用状況集計機能のモジュール分割〕
 F君は設計したプログラム構造図を基に,プログラム開発方針に従ってモジュール分割の検討を行った。F君が検討したプール利用状況出力処理のモジュール分割案を図5に示す。図5中の 銑い稜棒は,モジュール分割案を示している。
H28春AP午後問8_図5
 F君は,利用状況集計機能以外の機能についてもモジュール分割を行い,モジュール設計を完了させた。

設問1 本文中の[  a  ]〜[  c  ]に入れる適切な字句を解答群の中から選び,記号で答えよ。

解答群
ア STS分割
イ TR分割
ウ オブジェクト指向
エ 共通機能分割
オ ジャクソン法
カ ワーニエ法
正解は、
a イ
b ア
c オ
です。

設問2 図3中の[  d  ],[  e  ]に入れる適切な字句を表1中の字句を使って答えよ。
正解は、
d 施設名
e 会員氏名
です。

設問3 図4中の[  f  〕,[  g  ]に入れる適切な字句を20字以内で答えよ。
正解は、
f 店ごとの施設利用レポート出力処理
g 利用者なし表示出力処理
です。

設問4 〔利用状況集計機能のモジュール分割〕について,(1),(2)に答えよ。
 (1)図5中の△稜棒の下の処理を複数の施設の利用状況出力処理で共通して利用するモジュールとする場合,モジュールの結合度は何結合となるか,解答群の中から選び記号で答えよ。

解答群
ア データ結合
イ スタンプ結合
ウ 制御結合
エ 外部結合 
オ 共通結合
カ 内容結合

 (2)図5中の処理をプログラム開発方針に従って,モジュール強度を高め,モジュール結合度を下げるようにモジュール分割するとき,最適な分割を図5中の 銑い糧峭罎鰺僂い禿えよ。また,その理由を40字以内で述べよ。
正解は、
(1) ウ
(2)
分割 
理由 データ結合のモジュールに分割でき,再利用やカスタマイズが容易となるから
です。

モジュール設計に関して、応用情報技術者試験のシラバスでは、以下の記載があります。
(12)モジュールの設計
分割手法
分割手法には,データの流れに着目した手法とデータ構造に着目した手法があり,内部処理の形態に応じて複数の分割手法を組み合わせること,分割手法の種類,特徴を理解する。

用語例 STS(Source Transform Sink)分割,TR(Transaction:トランザクション)分割,共通機能分割,論理設計,領域設計,サブルーチン,再帰プログラム

分割基準
モジュールの独立性の評価基準として,モジュールの強度,結合度,それらと独立性との関係,分割量の評価基準,部品化と再利用のための評価基準を理解する。

用語例 モジュールの制御領域,モジュールの影響領域,分割量,モジュール再分割,従属モジュール,機能的強度,情報的強度,データ結合,制御結合

モジュール仕様の作成
各モジュール仕様の作成の考え方,手順,モジュール仕様の作成に用いられる手法を理解する。

用語例 流れ図,PSD(Program Structure Diagram),DSD(Design Structure Diagram),SPD ( Structured Programming Diagrams ), HCP ( Hierarchical and Compact description)チャート,PAD(Problem Analysis Diagram),決定表(デシジョンテーブル),ワーニエ法,ジャクソン法,NS 図,論理構造図,プログラミングテーブル

問9 ヤコブ・ニールセンのユーザインタフェースに関する10か条のヒューリスティックスの一つである“システム状態の視認性”に該当するものはどれか。
ア 異なる画面間でも,操作は類似の手順で実行できる。
イ 実行中に処理の進捗度を表示する。
ウ 入力フォームの必須項目に印を付けて目立たせる。
エ 表示する文字の大きさや色が適切で,効果的に画像も使用する。
(H22NW午前1より)

正解はイ


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