カテゴリ:10.情報化 > 10.1 情報システム戦略

■H29秋
問62 システム管理基準(平成16年)によれば,組織全体の情報システムのあるべき姿を明確にする計画はどれか。
ア 開発計画     イ 事業継続計画
ウ 全体最適化計画     エ 年間運用計画
【正解】ウ

問63 グラウトサービスの導入事例のうち,データから新たな知見を抽出し,付加価値として提供しているものはどれか。
ア 顧客データ管理システムのサーバリソースとして,グラウトサービスを活用することによって,新しいサーバの構築期間を,グラウトサービス導入前の約2か月間から1日に短縮した。
イ 個々の自動車から得た位置情報とブレーキ作動情報をグラウトサービスを用いて蓄積し,急ブレーキが頻繁に踏まれる危険地点を分析し,その結果を運転者などに配信することによって,事故を未然に防止した。
ウ 自社運用のメールサーバのアプリケーションとデータを,グラウトサービスに移行することによって,   5年間のTCOを約半分に削減した。
エ 自社環境で動く情報システムに格納されたデータとソフトウェアを,グラウトサービスを用いてバックアップすることによって,事業継続性を担保した。
【正解】イ

■H28秋
問62 ITベンダにおけるソリューションビジネスの推進で用いるバランススコアカードの,学習と成長のKPIの目標例はどれか。ここで,ソリューションとぱ顧客の経営課題の達成に向けて,情報技術と専門家によるプロフェッショナルサービスを通して支援するこどとする。
ア サービスを提供した顧客に対して満足度調査を行い,満足度の平均を5段階評価で3.5以上とする。
イ 再利用環境の整備によってソリューション事例の登録などを増やし,顧客提案数を前年度の1.5倍とする。
ウ 情報戦略のコンサルティングサービスに重点を置くために,社内要員30名をITのプロフェッショナルとして育成する。
エ 情報戦略立案やシステム企画立案に対するコンサルティングの受注金額を,全体のi5%以上とする。
【正解】ウ

■H28春
問61 IT投資評価を,個別プロジェクトの計画,実施,完了に応じて,事前評価,中間評価,事後評価として実施する。事前評価について説明したものはどれか。
ア 事前に設定した効果目標の達成状況を評価し,必要に応じて目標を達成するための改善策を検討する。
イ 実施計画と実績との差異及び原因を詳細に分析し,投資額や効果目標の変更が必要かどうかを判断する。
ウ 投資効果の実現時期と評価に必要なデータ収集方法を事前に計画し,その時期に合わせて評価を行う。
エ 投資目的に基づいた効果目標を設定し,実施可否判断に必要な情報を上位マネジメントに提供する。
【正解】エ

問62 情報システム全体の最適化目標は経営戦略に基づいて設定される必要があり,その整合性を検証する必要がある。“財務状態の予測”と整合性を確保すべきものはどれか。
ア 情報化投資計画
イ 情報システム化計画
ウ 情報システム全体のSWOT分析
エ 情報システム部門バランススコアカード
【正解】ア

問64 オムニチャネルの特徴はどれか。
ア 実店舗,インターネット上のオンラインストア,カタログ通販など,複数の顧客接点から同質の利便性で商品を注文・購入できること
イ 実店舗とインターネット上の店舗の取扱商品を想定購入者層に応じて別々にし,独立した販売チャネルとすること
ウ 実店舗に顧客を来店させるために,期間限定のクーポンを複数の実店舗の店頭で店員が配布すること
エ 実店舗を運営するための人件費を削減するために,インターネットだけで商品を販売すること
【正解】ア

問65 BABOKの説明はどれか。
ア ソフトウェア品質の基本概念,ソフトウェア品質マネジメント,ソフトウェア品質技術の三つのカテゴリから成る知識体系
イ ソフトウェア要求,ソフトウェア設計,ソフトウェア構築,ソフトウェアテステイング,ソフトウェア保守など10の知識エリアから成る知識体系
ウ ビジネスアナリシスの計画とモニタリング,引き出し,要求アナリシス,基礎コンピテンシなど七つの知識エリアから成る知識体系
エ プロジェクトマネジメントに関するスコープ,タイム,コスト,品質,人的資源,コミュニケーション,リスクなど九つの知識エリアから成る知識体系
【正解】ウ

問66 表は,ビジネスプロセスをUMLで記述する際に使用される図法とその用途を示している。表中のbに相当する図法はどれか。ここで,ア~エは,a~dのいずれかに該当する。
10-1_H28h_1_問66
ア クラス図     イ コラボレーション図
ウ ステートチヤート図     エ ユースケース
【正解】エ

■H27秋
問63 “システム管理基準”によれば,情報戦略における情報システム全体の最適化目標を設定する際の留意事項はどれか。
ア 開発,運用及び保守の費用の算出基礎を明確にすること
イ 開発の規模,システム特性などを考慮して開発手順を決めておくこと
ウ 経営戦略との整合性を考慮すること
エ 必要な要員,予算,設備,期間などを確保すること
【正解】ウ

問64 要件定義において,利用者や外部システムと,業務の機能を分離して表現することで,利用者を含めた業務全体の範囲を明らかにするために使用される図はどれか。
ア アクティビティ図     イ オブジェクト図
ウ クラス図     エ ユースケース
【正解】エ

■H27春
問64 1T投資ポートフォリオの目的はどれか。
ア IT投資を事業別,システム別,ベンダ別,品目別などに分類して,経年推移や構
 成比率の変化などを分析し,投資額削減の施策を検討する。
イ 個別のIT投資案件について,情報戦略との適合性,投資額や投資効果の妥当性,
 投資リスクの明瞭性などの観点から投資判断を行う。
ウ 個別プロジェクトの計画,実施,完了に応じて,IT投資の事前評価,中間評価,
 事後評価を一貫して行い,戦略目標に対する達成度を評価する。
エ 投資リスクや投資価値の類似性で分類したカテゴリごとのIT投資について,企業
 レベルで最適な資源配分を行う。
【正解】エ

問65 定性的な評価項目を定量化するために評価点を与える方法がある。表に示す4段階
  評価を用いた場合,重み及び判定内容から評価されるシステム全体の目標達成度は
  何%となるか。
10-1_H27h_1_問65
ア 27     イ 36     ウ 43     エ 52
【正解】イ

問66 業務要件定義において,業務フローを記述する際に,処理の分岐や並行処理,処理
  の同期などを表現できる図はどれか。
ア アクティビティ図     イ クラス図
ウ 状態遷移図     エ ユースケース
【正解】ア

■H26秋
問61 1T投資の評価手法のうち,バランススコアカードを用いた手法を説明したものはど
  れか。
ア IT投資の効果を正味現在価値などのキャッシュフローを用いて評価することによ
 って,他の投資案件との整合性を確保する。
イ IT投資をその性質やリスクの共通性によってカテゴリに分類し,カテゴリ単位で
 の投資割合を評価することによって,経営戦略とIT投資の整合性を確保する。
ウ 財務,顧客,内部業務プロセスなど複数の視点ごとに業績評価の指標を設定し,
 経営戦略との適合性を評価することによって,IT投資の効果を多面的に把握する。。
エ 初期投資の価値に加えて,後続のプロジェクトにおいて選択可能な収益やリスク
 の期待値を,金融市場で使われるオプション価格付け理論に基づいて評価する。
【正解】ウ

問62 情報戦略の立案時に,必ず整合性をとるべきものはどれか。
ア 新しく登場した情報技術     イ 基幹システムの改修計画
ウ 情報システム部門の年度計画     エ 中長期の経営計画
【正解】エ

企業の業務とシステムとは、必ずしもうまく連携して機能しているとは言えません。多くの企業では、業務の変更に合わせてシステムをその場しのぎで追加・改修してきたからです。
 エンタープライズアーキテクチャは、そんな整合性が取れていない業務と情報システムのあるべき姿(理想の姿)を示し、全体最適化するための技法です。
aa
過去問では、エンタープライズアーキテクチャ(Enterprise Architecture) のことを「組織全体の業務とシステムを統一的な手法でモデル化し、業務とシステムを同時に改善することを目的とした、業務とシステムの最適化手法である」(H22ST午前1問23)と述べられている。
 EAでは、各業務と情報システムを,ビジネス,データ,アプリケーション,テクノロジの四つの体系で整理し、システム全体の現状と理想像を表現します。以下は、4つのアーキテクチャと、それらを策定する際の成果物を整理したものです。
H21秋-応用情報-問61、62を参考に整理すると、以下になります。
項目アーキテクチャ説明成果物

上位

ビジネスアーキテクチャ

ビジネス戦略に必要な業務プロセスや情報の流れを体系的に示したもの

業務流れ図


データアーキテクチャ

業務に必要なデータの内容、データ間の関連や構造などを体系的に示したもの

実体関連ダイアグラム


アプリケーションアーキテクチャ

業務プロセスを支援するシステムの機能や構成などを体系的示したもの

情報システム関連図

下位

テクノロアーキテクチャ

情報システムの構築・運用に必要な技術的構成要素を体系的に示したもの

ソフトウェア構成図


また、応用情報技術者試験シラバスでは、エンタープライズアーキテクチャに関して次のように述べられています。
(2)エンタープライズアーキテクチャ
エンタープライズアーキテクチャの目的と考え方
EA(Enterprise Architecture:エンタープライズアーキテクチャ)は,組織全体の業務とシステムを統一的な手法でモデル化し,業務とシステムを同時に改善することを目的とした,組織の設計・管理手法であること,全体最適化を図るためのアーキテクチャモデルを作成し,目標を明確に定めることが必要であることを理解する。
アーキテクチャモデルは,業務とシステムの構成要素を記述したモデルのことで,組織全体として業務プロセス,業務に利用する情報,情報システムの構成,利用する情報技術などの領域(ビジネス,データ,アプリケーション,テクノロジ)のアーキテクチャを整理し,システム全体の現状と理想像を表現することを理解する。

用語例 ザックマンフレームワーク,業務・システム最適化,As-is モデル,To-be モデル,参照モデル,EAI(Enterprise Application Integration)

② ビジネスアーキテクチャ
BA(Business Architecture:ビジネスアーキテクチャ)は,組織の目標や業務を体系化したアーキテクチャであることを理解する。

用語例 業務説明書,DMM(Diamond Mandala Matrix:機能構成図),DFD,WFA(Work Flow Architecture:業務流れ図),UML

③ データアーキテクチャ
DA(Data Architecture:データアーキテクチャ)は,組織の目標や業務に必要となる
データの構成,データ間の関連を体系化したアーキテクチャであることを理解する。

用語例 データ定義表,情報体系整理図(UML のクラス図),E-R 図

④ アプリケーションアーキテクチャ
AA(Application Architecture:アプリケーションアーキテクチャ)は,組織としての目標を実現するための業務と,それを実現するアプリケーションの関係を体系化したアーキテクチャであることを理解する。

用語例 情報システム関連図,情報システム機能構成図, SOA ( Service Oriented Architecture:サービス指向アーキテクチャ

⑤ テクノロアーキテクチャ
TA(Technology Architecture:テクノロアーキテクチャ)は業務を実現するためのハードウェア,ソフトウェア,ネットワークなどの技術を体系化したアーキテクチャであることを理解する。

用語例 ハードウェア構成図,ソフトウェア構成図,ネットワーク構成図

過去問を見てみよう!
■H29秋AP午前
(H27秋AP午前 問61と同じ)
問61 エンタープライズアーキテクチャにおいて,業務と情報システムの理想を表すモデルはどれか。
ア EA参照モデル      イ To-Beモデル
ウ ザックマンモデル     エ データモデル
【正解】イ

■H27春AP午前
問62 エンタープライズアーキテクチャ(EA)を説明したものはどれか。
ア オブジェクト指向設計を支援する様々な手法を統一して標準化したものであり,クラス図などのモデル図によってシステムの分析や設計を行うための技法である。
イ 概念データモデルを,エンティティ,リレーションシップで表現することによって,データ構造やデータ項目間の関係を明らかにするための技法である。
ウ 各業務と情報システムを,ビジネス,データ,アプリケーション,テクノロジの四つの体系で分析し,全体最適化の観点から見直すための技法である。
エ 企業のビジネスプロセスを,データフロー,プロセス,ファイル,データ源泉/データ吸収の四つの基本要素で抽象化して表現するための技法である。
【正解】ウ

業務プロセスの改善と問題解決に関しては、以下のキーワードを理解しましょう。特にBPRが重要です。

(1)ワークフローシステム
ワークフローとは、ワーク(仕事)のフロー(流れ、手順)です。過去問(H22秋IP)を見てみましょう。
問6 ワークフローシステムの活用事例として,最も適切なものはどれか。
ア 機器を購入するに当たり,申請書類の起案からりん議決裁に至るまでの一連の流れをネットワーク上で行う。
イ 資材調達,生産,販売,物流などの情報を一貫して連携することで,無駄な在庫を削減する。
ウ 自社と得意先との間で,見積書や注文書などの商取引の情報をネットワーク経由で相互にやり取りする。
エ 自動車工場の生産ラインにおいて,自工程の生産状況に合わせて,必要な部品を必要なだけ前工程から調達する。
正解はアです。
参考までに、イはSCM、ウはEDI、エはJITのことです。

(2)BPR(Business Process Reengineering)
過去問(H21春IP問20)では、BPRに関して、「企業の業務効率や生産性を改善するために,既存の組織やビジネスルールを全面的に見直して,再構築すること」と述べられています。
過去問(平成27年度春FE)を見てみましょう。
問62 企業活動におけるBPM(Business Process Management)の目的はどれか。
ア 業務プロセスの継続的な改善
イ 経営資源の有効活用
ウ 顧客情報の管理,分析
エ 情報資源の分析,有効活用
BPRは、「企業の業務効率や生産性を改善するために,既存の組織やビジネスルールを全面的に見直して,再構築すること(H21春IP問20)」です。それを継続的に実施するのがBPMになります。
【正解】 ア

別の過去問(H21ST問3)では、「マイケルハマーが提唱するリエンジニアリングの特徴として、「顧客の満足度を高める事を主眼とし、最新の情報技術を用いて業務プロセスと組織を根本的に改革する」と述べられています。これもBPRの内容です。
BPRは、リストラチャリングと比較されることがありますが、リストラは不採算部門の撤退及び縮小で、かなり単純です。一方、リエンジニアリングは、業務プロセスそのものを見直します。

(3)BPO(Business Process Outsourcing)
BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)に関して過去問(H24秋AP午前問62)では、「社内業務のうちコアビジネス以外の業務の一部又は全部を,情報システムと併せて外部に委託することによって,経営資源をコアビジネスに集中させること」とあります。

プログラムマネジメントに関して、応用情報技術者試験シラバスでは、以下の記載があります。
(3)プログラムマネジメント
プログラムマネジメントは,目的や目標が明確な複数のプロジェクトを有機的に組み合わせたプログラムが,プロジェクト相互の関係を最適化して,全体として使命をより良く達成するように統合する活動であることを理解する。


用語例 PMO(Program Management Office:プログラムマネジメントオフィス),プログラム統合

過去問(H29春AP午前問62)を見てみましょう。
問62 事業目標達成のためのプログラムマネジメントの考え方として,適切なものはどれか。
ア 活動全体を複数のプロジェクトの結合体と捉え,複数のプロジェクトの連携,統合,相互作用を通じて価値を高め,組織全体の戦略の実現を図る。
イ 個々のプロジェクト管理を更に細分化することによって,プロジェクトに必要な技術や確保すべき経営資源の明確化を図る。
ウ システムの開発に使用するプログラム言語や開発手法を早期に検討することによって,開発リスクを低減し,投資効果の最大化を図る。
エ リスクを最小化するように支援する専門組織を設けることによって,組織全体のプロジェクトマネジメントの能力と品質の向上を図る。
正解は、アです。

情報システム戦略に関して、応用情報技術者試験シラバスでは次の記載があります。
(1)情報システム戦略
① 情報システム戦略の目的と考え方
経営戦略に沿って効果的な情報システム戦略を策定すること,情報システム戦略に基づいて全体システム化計画や情報化投資計画を策定することなどを理解する。

用語例 情報システム戦略評価,CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)

② 情報システム戦略の策定手順
情報システム戦略を策定する際の手順を理解する。
[手順の例]
(ⅰ)経営戦略の確認,(ⅱ)業務環境の調査,分析,(ⅲ)業務,情報システム,情報技術の調査,分析,(ⅳ)基本戦略の策定,(ⅴ)業務の新イメージ作成,(ⅵ)情報システムの対象の選定と投資目標の策定,(ⅶ)情報システム戦略案の策定,(ⅷ)情報システム戦略の承認

③ 情報システム戦略の策定の留意事項
情報システム戦略を策定する際の留意事項を理解する。
用語例 経営課題解決,事業展開,競争優位,情報システム構築,業務革新,情報技術の動向,情報基盤整備,情報システム化範囲,経営資源配分,業務プロセス標準化,業務モデル,ビジネスモデル,新技術導入,情報化投資環境,投資効果,情報資産管理,BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画),コンプライアンス,IT 経営力指標

④組織形態
情報システムの企画,開発,運用,保守などを行う組織の形態として,職能別組織,事業部制組織,マトリックス組織,プロジェクト組織などがあることを理解する。

用語例 情報システム化委員会,情報化推進体制

⑤ 全体システム化計画
(a)全体最適化方針
全体最適化方針は,組織全体として業務とシステムが進むべき方向を示す方針であることを理解する。また,全体最適化方針で明確化する内容と留意事項を理解する。

用語例 全体最適化目標,IT ガバナンスの方針,経営戦略との整合性,情報システムのあるべき姿(To-be モデル),組織や業務の変更方針,情報セキュリティ方針

(b)全体最適化計画
全体最適化計画は,全体最適化方針に基づき,事業者の各部署において個別に作られたルールや情報システムを統合化し,効率性や有効性を向上させるための計画であることを理解する。また,全体最適化計画で明確化する内容と留意事項を理解する。

用語例 業務固有のルール・規制・関連法規など,社内外利害関係者との調整と合意,システム構築・運用のための標準化方針及び品質方針,外部資源の活用,システム管理基準

⑥ 情報化投資計画
情報化投資計画は,経営戦略との整合性を考慮して策定すること,計画の決定に際してその影響,効果,期間,実現性などの観点から複数の選択肢を検討する必要があることなどを理解する。

用語例 情報化投資方針,IT 投資マネジメント,確保すべき経営資源,投資効果やリスク算定の方法

⑦ システム化計画
全体システム化計画に従って,個別システム化計画を立案すること,企業の戦略性を向上させるためのシステムとして,企業全体又は事業活動の統合管理を実現するシステム,企業間の一体運営に資するシステムがあることを理解する。

用語例 基幹系システム,ERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画),SCM,CRM ( Customer Relationship Management : 顧客関係管理), SFA , KMS(Knowledge Management System:知識管理システム),シェアドサービス

⑧ モデル
企業経営システムのモデルを理解する。

用語例 ビジネスモデル,業務モデル,情報システムモデル

情報システム戦略の策定するときには、情報システム化委員会がその中心となる存在です。過去問(平成25年春AP午前問61)では、「“システム管理基準”によれば,情報システム化委員会の説明」として、「経営トップや各部門の責任者などから構成された,情報システムに関わる活動全般をモニタリングする組織」とあります。

過去問を解いてみましょう。
問23 “システム管理基準"によれば,情報システムの全体最適化を実現するために設置する情報システム化委員会の役割はどれか。
ア 外部委託先を選定し,適切な業務遂行のための管理,監督を行う。
イ 業務活動に即した,物理的,論理的及び環境のセキュリティを確保する。
ウ 情報技術の動向に対応するため,技術採用に関する指針を明確にする。
エ 情報システムに係る法制度や社内規定に準拠する仕組みを確立する。
システム管理基準を見てみましょう。システム監査基準と違って量が莫大なので、大変ですが、該当する部分のみ抜粋します。
http://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/downloadfiles/system_kanri.pdf

2.1 情報システム化委員会(5)
(1)全体最適化計画に基づき、委員会の使命を明確にし、適切な権限及び責任を与えること。
(2)委員会は、組織体における情報システムに関する活動全般について、モニタリングを実施し、必要に応じて是正措置を講じること。
(3)委員会は、情報技術の動向に対応するため、技術採用指針を明確にすること。
(4)委員会は、活動内容を組織体の長に報告すること。
(5)委員会は、意思決定を支援するための情報を組織体の長に提供すること。
ここにあるようにウが正解になります。

3 ソリューションビジネス
クラウドサービスとして、SaaS,PaaS,IaaSを理解しましょう。
laaS : Infrastructure as a Service
PaaS : Platform as a Service
SaaS : Software as a Service

詳細については、以下です。
http://nw.seeeko.com/archives/50897478.html

(1)情報システム利用実態の評価・検証
システムは導入して終わりではなく、システムを活用するための活動をするべきです。また、システムの評価も大事です。たとえば、システムが本当に利用されているかというシステム利用実態の調査であったり、情報システムの投資対効果の分析です。
必要に応じて、情報システムの改修を行う必要があります。

(2)情報システム廃棄
システムライフサイクルについて簡単に理解しましょう。
また、最後はデータの消去を確実に行いましょう。

システムのライフサイクルに関しては、以下の過去問(H23春FE午前)で、流れを確認しましょう。
問58 “システム管理基準"にいうシステムライフサイクルはどれか。
ア 企画,開発,運用,保守
イ 計画,実行,点検,改善
ウ 構築,運用,評価,監査
工 設計,開発,製造,試験
正解は、アです。システム管理基準(http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/press/0005668/0/041008system.pdf)では、以下の章立てとなっております。
Ⅰ.情報戦略
Ⅱ.企画業務
Ⅲ.開発業務
Ⅳ.運用業務
Ⅴ.保守業務
Ⅵ.共通業務
ⅠとⅥは、システムのライフサイクルというより、全体的な戦略になります。システムライフサイクルに関しては選択肢 アが正解です。

・直訳は「サービス指向アーキテクチャ
・「考えた方」なので、イメージがわきにくいですね。
・受注、出庫、在庫管理、など機能単位に連携できるシステムを作る。
・たとえば、基幹システムで販売管理システムを作り上げたとする。そこにインターネット注文受付のWebシステムを構築したら、当然連携したい。しかし、基幹システムがSOAの概念がなくて連携機能がなければ連携できない。しかし、SOAの概念により、インターフェースが標準化され、単位に連携できる仕組みになっていれば、在庫機能などと連携できるし、さらには社外のVANサービスとも連携が可能になる。
・システム構築は得てして自分の部署だけを考えてバラバラに構築しがちである。SOAを浸透させるにはITガバナンスが重要かもしれない。
SOA(Service Oriented Architecture)とは、システムをサービス単位で扱う概念である。各種のサービス(システム)単位で開発を行い、それらをを柔軟に組み合わせる。そうすれば、開発費を抑えて高機能なシステムを構築しやすくなる。
・過去問では、「ビジネスプロセスの構成要素とそれを支援するIT基板を、ソフトウェア部品であるサービスとして提供するシステムアーキテクチャのこと」(H22ST午前1問24)、「ユーザに提供するサービスの集まりとして、システムを構築する考え方」(H19午前共通 問12)と述べられている。
・システム構築は得てして自分の部署だけを考えてバラバラに構築しがちである。SOAを浸透させるにはITガバナンスが重要かもしれない。
まあ、「パッケージを組み合わせましょう」という考えであるが、SOAでイメージしているサービスは、Webのサービスであることが多い。いわゆる「Webサービス」である。

過去問を見てみよう!
■H28秋
(H27春AP午前 問63と同じ)
問61 SOAの説明はどれか。
ア 会計,人事,製造,購買,在庫管理,販売などの企業の業務プロセスを一元管理することによって,業務の効率化や経営資源全体最適を図る手法
イ 企業の業務プロセス,システム化要求などのニーズと,ソフトウェアバッケージの機能性がどれだけ適合し,どれだけかい離しているかを分析する手法
ウ 業務プロセスの問題点を洗い出して,目標設定,実行,チェヽジク,修正行動のマネジメントサイクルを適用し,継続的な改善を図る手法
エ 利用者の視点から各業務システムの機能を幾つかの独立した部品に分けることによって,業務プロセスとの対応付けや他のソフトウェアとの連携を容易にする手法
【正解】エ

■H28春
(H26秋AP午前 問63と同じ)
問63 SOAを説明したものはどれか。
ア 企業改革において既存の組織やビジネスルールを抜本的に見直し,業務フロー,管理機構,情報システムを再構築する手法のこと
イ 企業の経営資源を有効に活用して経営の効率を向上させるために,基幹業務を部門ごとではなく統合的に管理するための業務システムのこと
ウ 発注者とITアウトソーシングサービス提供者との間で,サービスの品質について合意した文書のこと
エ ビジネスプロセスの構成要素とそれを支援するIT基盤を,ソフトウェア部品であるサービスとして提供するシステムアーキテクチヤのこと
【正解】エ

問25 SOA(Service Oriented Architecture)でサービスを設計する際の注意点のうち,適切なものはどれか。
ア 可用性を高めるために,ステートフルなインタフェースとする。
イ 業務からの独立性を確保するために,サービスの命名は役割を表すものとする。
ウ 業務の変化に対応しやすくするために,サービス間の関係は疎結合にする。
エ セキュリティを高めるために,一度開発したサービスは再利用しない方がよい。
(H22NW午前2問25より)

正解 ウ

データの中から有用な情報を取り出して意思決定に役立てる仕組み全般のことです。

概念なので、明確な定義はありません。
過去問では、「企業内の膨大なデータを蓄積し、分類、加工、分析をすることで、企業の迅速な意思決定に活用しようとする手法」(H21ST問4)とあります。
OLAPの経営戦略版と考えればよいだろう。BIというのは、最近の言葉で、明確な定義はなく、OLAPやDWHを包含するツールや概念と考えて良い。

過去問を見てみよう!
■H28秋
問63 BI (Business Intelligence)の活用事例として,適切なものはどれか。
ア 競合する他社が発行するアニユアルレポートなどの刊行物を入手し,経営戦略や財務状況を把握する。
イ 業績の評価や経営戦略の策定を行うために,業務システムなどに蓄積された膨大なデータを分析する。
ウ 電子化された学習教材を社員がネットワーク経由で利用することを可能にし,学習・成績管理を行う。
エ りん議や決裁など,日常の定型的業務を電子化することによって,手続を確実に行い,処理を迅速化する。
【正解】イ

基幹システムやERPパッケージなどの個別システムを統合すること

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