カテゴリ:11.企業と法務 > 11.7 標準化関連・ガイドラインなど

■H28秋
問80 技術者倫理の遵守を妨げる要因の一つとして,集団思考というものがある。集団思考の説明として,適切なものはどれか。
ア 自分とは違った視点から事態を見ることができず,客観性に欠けること
イ 組織内の権威に無批判的に服従すること
ウ 正しいことが何かは知っているが,それを実行する勇気や決断力に欠けること
エ 強い連帯性をもつチームが批判的思考を欠くことによって,不合理な合意へと達すること
【正解】エ

■H28春
問78 A社では,社員のソーシャルメディア利用に関し,業務利用だけでなく,私的利用における注意事項も取りまとめ,ソーシャルメディアガイドラインを策定した。私的利用も対象とするガイドラインが必要とされる理由として,最も適切なものはどれか。
ア ソーシャルメディアアカウントの取得や解約の手続をスムーズに進めるため
イ ソーシャルメディア上の行為は社員だけでなくA社にも影響を与えるため
ウ ソーシャルメディアの操作方法を習得するマニュアルとして利用するため
エ ソーシャルメディアの利用料金がA社に大きな負担となることを防ぐため
【正解】イ

製造物責任法とは、製造物の欠陥によって利用者が損害を被った場合、被害を受けた利用者が、製造メーカーに対して、損害賠償を求めることができる法律です。
製造物の欠陥により被害を受けた場合、被害者が製造者に対し、被害者が損害賠償を求めやすくなりました。
PL(product liability)とは、その言葉の通り「製品(product)」「責任(liability)」を意味します。
応用情報技術者試験を勉強する成子 

どう求めやすくなったのですか?




それまでは、製造者の「過失」を証明する必要がありました。個人が大手メーカの過失を調査することは無理ですよね。この法律により、「過失」の証明が必要なくなったのです。
過去問(H26春IP問17)で「PL法(製造物責任法)の保護の対象」として「消費者」が正答であるように、消費者保護を目的とした法律です。

過去問(H28春AP午前問80)
問80 ソフトウェアやデータに瑕疵がある場合に,製造物責任法の対象となるものはどれか。
ア ROM化したソフトウェアを内蔵した組込み機器
イ アプリケーションのソフトウェアパッケージ
ウ 利用者がPCにインストールしたOS
エ 利用者によってネットワークからダウンロードされたデータ
【正解】ア

過去問(H25春AP午前問79)
問79 製造業者の責任に関して,製造物責任法(PL法)に定められているものはどれか。
ア 顧客の財産に関する損害については,製造業者は製造物を顧客に引き渡した時から永久に損害賠償責任を負う。
イ 製造物の欠陥原因が部品メーカの製造した部品であった場合,完成品メーカの設計どおりに製造し納品した部品であっても,部品メーカに損害賠償責任がある。
ウ 製造物を顧客に引き渡した時における科学又は技術水準では発見できない内容の欠陥であれば,その製造業者の損害賠償責任は問われない。
エ 製造物を輸入して販売している販売業者は,製造業者ではないので,その製造物によって顧客が財産上の損害を被っても,損害賠償責任は問われない。
【正解】ウ

過去問(H22秋AP午前問80)
問80 A社は,B社に委託して開発したハードウェアに,C社が開発して販売したソフトウェアパッケージを購入して実装し,組込み機器を製造した。A社はこの機器を自社製品として出荷した。小売店のD社は,この製品を仕入れて販売した。ソフトウェアパッケージに含まれていた欠陥が原因で,利用者が損害を受けたとき,製造物責任法(PL法)上の責任を負うのはだれか。ここで,A社,B社,C社,D社及び損害を受けた利用者はすべて日本国内の法人又は個人とする。
ア 機器を製造し出荷したA社が責任を負う。
イ ソフトウェアを開発し販売したC社が責任を負う。
ウ ハードウェアを開発したB社が責任を負う。
エ 販売したD社が責任を負う。
【正解】ア

1.e-文書法
過去問(H20春AD問80)では、e-文書法の説明として、「各種法令によって保存が義務付けられている文書について,電子化された文書フアイルでの保存を可能とするもの」と述べられています。
これにより、3万円未満の領収書に関しては、紙ではなくスキャナ読取りによる保存が認められるようになりました。
また、e-文書法に関する要件に関しては、そのポイントが過去問(H19年春AU午後Ⅰ)の中でまとめられています。
・会社は国税当局に申請して承認を受けることで,一定の書類をスキャナで読み取って作成された電磁的記録によって保存することができる。
・取引に関して相手から受け取った契約書,領収書,その他これらに準ずる書類及び自己の作成した書類に記載された契約金額又は受取金額が,3万円未満のものを対象とする。
・スキャナは,ドット及び階調がそれぞれ法令で定められた一定の条件以上で読み取るものである。当該関係書類にかかわる記録事項の入力は,作成後又は受領後,速やかに行う。
・読み取る際に,当該入力者又は監督者の電子署名及びタイムスタンプを付加する。
・保存された電磁的記録は,有効期間中,速やかに出力できるようにしておく。

2.電子帳簿保存法
電子帳簿保存法は、納税者の国税関係帳簿書類の保存に係る負担の軽減等を目的として、本来は紙ベースでの保存だったものを、電磁的記録等による保存等を容認しようとするものです。

過去問(H17春AU午前)を見てみましょう。 
問41 “電子帳簿保存法"に関する記述のうち,適切なものはどれか。
国税関係帳簿書類は,電子帳簿保存法が定める電子計算機システムの要件を満たせば電磁的記録のまま保存できる。
国税関係帳簿書類を電磁的記録として保存するには,これらを作成するシステム関係書類も備え付けておく必要がある。
電子帳簿保存法が対象とする電子取引には,  EDIやインターネットによる取引は含まれない。
エ 電磁的記録について訂正又は削除を行った場合は,その事実及び内容を帳簿として備えておかなければならない。
これは難しい問題です。
ア:不正解です。単に要件を満たすだけではダメで,上記の過去問を引用した要件にあるように「会社は国税当局に申請して承認を受ける」ことが必要です。
イ:正解選択肢です。
ウ:EDIやインターネットによる取引も含まれます。
エ:事実及び内容を確認できるようにする必要はありますが、帳簿までは不要です。

もう一問、過去問(H27春AU午前2)を見てみましょう。
問15 電子帳簿保存法の要件に反しない事実関係はどれか。
ア 自社内に会計システムをもたない会社が,委託先会計事務所の電子計算機を用いて,取引の最初の記録から一貫して国税関係の帳簿を作成している。
イ 支店などの新設がない場合において,仕訳帳を会計期間の中途から電磁的に記録している。
ウ 電子帳簿保存を行うシステム関係書類(システム概要書,システム仕様書,操作説明書)の備え付けはしていない。
エ 電子帳簿保存を行うシステムで仕訳情報の登録,削除の内容は検索できるが,訂正の内容は検索ができない。
正解はアです。
難しいですね。解説は別途記載します。

3.IT基本法
2000年に制定されたIT基本法高度情報通信ネットワーク社会形成基本法)は、その名の通り高度な情報通信ネットワーク社会の形成を目的としています。この法律ではIT戦略本部が設置され、翌2001年のe-Japan戦略へとつながっていきます。

4.コンプライアンスと倫理
 コンプライアンス法令遵守)は、法律やルールを守ることです。過去問(H27AP秋午前問74)では、「企業経営における,コンプライアンス強化の説明」として、「企業存続の危機につながりかねない,経営者や従業員による不法な行為の発生を抑制する。」と述べられています。
 また、法律では制限されていないことでも、モラルや倫理の観点から守るべきことがあります。たとえば、情報倫理として、SNS等で他人の悪口を書かないことがあります。技術者倫理としては、技術士の有資格者向けの「技術士倫理綱領」に、「業務上知り得た秘密を、正当な理由がなく他に漏らしたり、転用したりしない」などがあります。

標準・規格および標準化団体に関して、覚えておきたいキーワードは以下です。

①JIS
JIS(Japanese Industrial Standards:日本工業規格)は,“Japanese”と名前が付いているように日本の規格です。過去問では、「工業製品に関して,日本工業規格として定めたもの(H21年秋IP問1不正解選択肢)」と述べられています。

②ISO
 ISO(International Organization for Standardization)とは、「国際標準化機構」のことです。
セキュリティに関する代表的なものとして、ISMSの認証基準である「ISO/IEC 27001」があります。過去問では、「工業や科学技術に関して,国際標準化機構が定めた規格(H21年秋IP問1不正解選択肢)」「工業及び技術に関する国際規格の策定と国家間の調整を実施している(H19年春AD午前問60」と述べられています。

IEEE
IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers:電気電子学会)に関して、過去問(H19年春AD午前問60)では、「アメリカに本部をもつ電気工学と電子工学に関する学会である。LAN,その他のインタフェース規格の制定に尽力している」と述べています。
無線LAN規格であるIEEE 802.11などがよく耳にする言葉でしょう。

デファクトスタンダードとデジュレスタンダード
デファクトスタンダードに関して過去問(H21年秋IP問1)では,「特定の企業やグループなどが採用した仕様が広く利用されるようになり,事実上の業界標準になったもの」と述べられています。一方、公の団体から認定された標準規格をデジュレスタンダードと言います。「de jure」とは「法律上の」という意味で、事実上の規格ではなく、公のルールで決められた規格であることを意味します。

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