カテゴリ:3.コンピュータの基礎理論 > 3.1 コンピュータの基礎理論

 

1.符号化とは

広義の「符号化」とは、アナログデータをデジタルデータにすることです。狭義の「符号化」に関しては、音声の符号化(A/D変換) における、「標本化,量子化,符号化の3段階で処理」で考えます。詳しくは以下に記載しています。

nw.seeeko.com

2.符号化に関する過去問

■H28春
問4 a,b,c,dの4文字から成るメッセージを符号化してビット列にする方法として表のア~エの4通りを考えた。この表はa,b,c,dの各1文字を符号化するときのビット列を表している。メッセージ中でのa,b,c,dの出現頻度は,それぞれ50%,30%,10%,10%であることが分かっている。符号化されたビット列から元のメッセージが一意に復号可能であって,ビット列の長さが最も短くなるものはどれか。
H28h-4



【正解】ウ

 

3.参考(ラングレス法)

可逆圧縮アルゴリズムの一つであるランレングス法について過去問(H21春FE午後問1)を紹介します。

問1 画像データの符号化に関する次の記述を読んで,設問1~3に答えよ。

 図1は,8×8画素の白と黒だけで色分けされた2値画像の例である。画素を1番上の行の左から右へ,次に2番目の行の左から右へと順に1画素を1ピットで,白を0,黒を1で表すと,図2のように64ビットのピット列で表現することができる。
H21春FE午後問1図1・図2
(1) 図2のビット列を,同じ値が連続している部分(以下,ランという)ごとに区切り,各ランをその連続する個数(以下,ランレングスという)で表すことによって,少ないビット数でのピット列表現に書き換えることができる。図2では,左上から数えて0が27個,1が27個,0が10個の順に連続しているので,27,27,10という情報を使った表現に書き換える。これを,ランレングス符号化という。

(2) 1番上の行の左端の画素は白で始まるものとする。ただし,その画素が黒の場合は,先頭に0個の白があるものとして符号化を行う。

(3) ランレングス符号化の方法は,次のとおりである。
 ① ランレングスをnとし,nを2進数で表現したときのけた数をmとする。ただし,常にm≧2となるように,n =0の2進数表現を00,n =1の2進数表現を01とする。
 ② nビットのランを図3のビット列に書き換える。
H21春FE午後問1図3
(4) 図2の例では,最初は0が27個連続しているので,n =27である。27を2進数で表現すると11011 (5けた)となり,m =5である。m-2=3なので,けた数情報は111である。したがって,この部分の符号化後のピット列表現は111011011となり,9ピットで表現できる。

(5) 表にn,m及び符号化後のピット列を示す。
H21春FE午後問1 表 ビット列
設問1 表中の[    ]に入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。

 aに関する解答群
 ア 100
 イ 0100
 ウ 10100
 エ 110100

 bに関する解答群
 ア 14
 イ 15
 ウ 16
 エ 17

正解は、
a ウ
b イ
です。

設問2 図2の64ビットのビット列をランレングス符号化すると,何ビットで表現できるか。正しい答えを,解答群の中から選べ。

解答群
ア 22
イ 23
ウ 24
エ 25

正解は、エです。

設問3 ランレングス符号化後のビット列が,次のとおりであったとする。このビット列を復号した2値画像として正しい答えを,解答群の中から選べ。

 000111011111111011111010

解答群
H21春FE午後問1 設問3 解答群

正解は、エです。

 

 

1.信号処理に関して

 信号処理に関して、応用情報技術者試験シラバスでは、以下の記載があります。

(1)信号処理
アナログ波形を分析して,雑音を除去し,特徴を抽出する信号処理の考え方,仕組みを理解する。
用語例 DFT(Discrete Fourier Transform:離散フーリエ変換),FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換),インパルス応答,フィルタ(ローパスフィルタ,ハイパスフィルタ,バンドパスフィルタ,ディジタルフィルタ),サンプリング定理,D/A 変換,A/D 変換

2.A/D変換

 会話や通話はアナログの波です。これを、TCP/IP上で通信をするには、0と1で表されるデジタル化をする必要があります。つまりアナログ(Analog)からデジタル(Digital)に変換する処理が必要です。
 A/D変換(アナログ/デジタル変換)に関しては、以下に記載しています。
http://nw.seeeko.com/archives/50493771.html

3.A/D変換に関する過去問

(1)平成28年秋期 午前

問22 音声を標本化周波数10 kHz,量子化ビット数16ビットで4秒間サンプリングして音声データを取得した。この音声データを,圧縮率1/4のADPCMを用いて圧縮した場合のデータ量は何kバイトか。ここで,1kバイトは1,000バイトとする。

ア 10  イ 20  ウ 80  エ 160 



標本化周波数10 kHzなので、1秒間に10k回のデータが存在します。量子化ビット数16ビットなので、1回のデータ量は16ビットです。
それを4秒間サンプリングし、1/4の圧縮をしたので、全部をかけ合わせます。
10k×16×4÷4=160kbit

これをバイトに直すために8で割ると、20kバイトです。

正解:イ

(2)H23秋FE午後問1

問1 A/D変換に関する次の記述を読んで,設問1~3に答えよ。

 A/D変換とは,アナログ信号をディジタル信号に変換することであり,標本化,量子化,符号化の3段階で処理する。直流の電圧を例にnビットのA/D変換を説明する。
(1)標本化
 標本化では,時間的に連続したアナログ信号である電圧を一定の時間間隔で測定する。図1では,時間軸をt0,t1,…と等間隔dで区切り,各時刻での電圧をv(t1),v(t1),…と表す。
2011h23a_fe_pm_qs_1

2011h23a_fe_pm_qs_2
2011h23a_fe_pm_qs_3
(3)符号化
 符号化では,(2)の量子化で用いた電圧v0,v1,…, vmaxに2進符号を対応付ける。この符号によって,各測定値を表す。

 

設問1 図2左の電圧v(t0),v(t1),…,v(t10)だけの符号化を考える。図2右の電圧v0,v1,…,v7を2進符号000,001,…,111に順に対応付けた場合を表1に示す。
2011h23a_fe_pm_qs_4

 図2左のv(t0),v(t1),…,v(t10))の各測定値を,表1に基づいて符号化すると表2のようになる。表2中の[    ]に入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。
2011h23a_fe_pm_qs_5
  注記 網掛けの部分は表示していない。

解答群
ア 011  イ 100  ウ 101  エ 110  オ 111



正解は、
a エ
b ウです。

設問2 次の記述中の[    ]に入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。

 アナログ信号の電圧の範囲が0~9Vであるとき,FSRを9Vとし, 4ビットで量子化した場合,qは[  c  ]である。アナログ信号の電圧7.49…Vの測定値は[  d  ]Vとなり,表1の場合と同様に2進符号0000,0001,…,1111に順に対応付けて符号化すると[  e  ]となる。

c, dに関する解答群
ア 0.5625    イ 0.6  ウ 1.2  エ 2.25  オ 5.5
カ 7.0   キ 7.2  ク 7.5  ケ 7.8   コ 8.0

eに関する解答群
ア 1010  イ 1011  ウ 1100  エ 1101  オ 1110



正解は、
c イ
d キ
e ウです。

設問3 次の記述中の[    ]に入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。
 FSRが1,022ミリVであるアナログ信号の電圧を,50ミリ秒間隔で5秒間標本化した。このとき, A/D変換後の総データ量を1,000ビット以内に納めることができる刻み幅qの最小値は[  f  ]ミリVである。

解答群
ア 0.1  イ 0.5   ウ 1.0   エ 1.5  オ 2.0  カ 2.5  キ 3.0



正解は、オです。

人間の言葉をそのまま理解できないコンピュータには、コンピュータが理解できる言語を使う必要があります。このように、コンピュータにはコンピュータならではの理論があり、ここではそんな情報(コンピュータ)に関する理論をいくつか紹介します。

 

1.オートマトン

オートマトンとは、状態遷移図のモデルです。
たとえばタスク管理において、「実行状態」「実行可能状態」「待ち状態」の3つの状態を遷移します。
過去問(H20FE秋午前問29)では、コンピュータのタスクの状態遷移として、次の図が記載されています。
状態遷移
また、実行状態のタスクが、「自分より優先度の高いタスクが実行可能状態になった」ことで、実行可能状態に遷移するともあります。

このように、ある「状態」と「遷移」の様子を表したモデルがオートマトンです。かつ、状態や遷移が有限なものが有限オートマントンです。

実際の過去問(H21春AP午前問3)の有限オートマトンを見てみましょう。問題文には、「S1は初期状態を,S3は受理状態を表している。」とも記載があります。
automaton
ここで、初期状態のS1に1が与えられるとS2に遷移し、0が与えられるとS3に遷移します。
S2においては、0が与えられるとS2のままで、1が与えられるとS1に遷移します。
S3においては、0が与えられるとS2に遷移し、1が与えられるとS3のままです。

2.オートマトンの過去問

(1)H28秋AP午前問4

問4 表は,入力記号の集合が{0,   1},状態集合が{a, b, c, d}である有限オートマトンの状態遷移表である。長さ3以上の任意のビット列を左(上位ビット)から順に読み込んで最後が110で終わっているものを受理するには,どの状態を受理状態とすればよいか。
manton
ア a   イ b   ウ c   エ d

さて、よくわからない問題だと感じた人も多かったことでしょう。状態集合が{a, b, c, d}であり、それに対して入力記号の集合が{0,   1}です。問題文の状態遷移表をオートマトンの図にすると、以下になります。
auto 
ここで、最後が110で終わっているものを受理すると、樹里状態はa~dのどれになるのでしょうか。というのが問題です。最後が110というのがよく分かりませんが、とにかく、a~dの4つの中のいずれかからスタートしますので、順番に入れてみます。

・aからスタート
 a→1→b→1→d→0→c
・bからスタート
 b→1→d→1→d→0→c
・cからスタート
 c→1→b→1→d→0→c
・dからスタート
 d→1→d→1→d→0→c

このように、どこからスタートしても110を受理すると、cで受理状態になります。
正解は、cですからウです。

(2)H26春AP問4
問4 表は,入力記号の集合が{0,1},状態集合が{a,b,c,d}である有限オートマトンの状態遷移表である。長さ3以上の任意のビット列を左(上位ビット)から順に読み込んで最後が110で終わっているものを受理するには,どの状態を受理状態とすればよいか。
H26h-4
ア a   イ b   ウ c   エ d
【正解】ウ

(3)H25春AP問3
問3 図は,偶数個の1を含むビット列を受理するオートマトンの状態遷移図であり,二重丸が受理状態を表す。 a,bの適切な組合せはどれか。
H25h-3_1図H25h-3_2選択肢表


【正解】ウ

 

1.逆ポーランド表記法

逆ポーランド表記法とは,演算子を二つの演算対象の後ろに配置することによって,数式を表現する表記法です。例えば,一般的な表記法の数式1+2×3を,逆ポーランド表記法では123×+と表記します。逆ポーランド表記法で表記した数式は,数値や演算子を左から順に処理すればよく,括弧を使う必要もないので,コンピュータが数式を取り扱うのに都合が良い表記方法です。

まずは過去問(H24秋AP午前問4)を見てみましょう。

問4 式 E=(A+B)×(C-D)と対応する逆ポーランド表記法はどれか。
ア =EX+AB-CD ウ EAB-CD+×=
イ EAB+CD-×= 工 EABCX+D-=


逆ポーランド表記法は、パッと見は難しいのですが、方式を覚えて慣れてしまえば難しくはありません。後述する過去問(H25春AP午後問2)をベースに解説します。
まず、表記の方法は、 2×3 を 23× とします。演算子を演算対象のすぐ後ろに配置するのです。このルールだけ覚えてください。
では、 1+2×3 はどうなるでしょうか。
この演算は、1+2を先にするのではなく、2×3を先に計算しますよね。つまり、2×3が一つの塊です。よって、(2×3)をZと考えると、1+Zですから、1Z+になります。Zに23×を入れると、123×+となります。
2
よって、この問題の正解はイです。
応用情報技術者試験を勉強する成子 

なぜこんな面倒なことをするのですか?
先ほどの過去問には、「逆ポーランド表記法で表記した数式は,数値や演算子を左から順に処理すればよく,括弧を使う必要もないので,コンピュータが数式を取り扱うのに都合が良い。」とあります。

上記の過去問ですが、このルールに従うと、 A+B は AB+ 、 C-D は CD- 
(A+B)と(C-D)をそれぞれの塊とみた上で掛け算をするので、 (A+B)×(C-D) は AB+CD-× になります。この塊とEを「=」という演算をすると考えればいいので、 EAB+CD-×= が正解です。

2.逆ポーランド表記法の過去問

(1)H25春AP午後問2
 過去問(H25春AP午後問2)に、逆ポーランド表記法に関する出題があるので以下に掲載します。

問2 一般的な表記法の数式を逆ポーランド表記法に変換するアルゴリズムに関する次の記述を読んで,設問1~3に答えよ。
 逆ポーランド表記法とは,演算子を二つの演算対象の後ろに配置することによって,数式を表現する表記法である。例えば,一般的な表記法の数式1+2×3を,逆ポーランド表記法では123×+と表記する。
 逆ポーランド表記法で表記した数式は,数値や演算子を左から順に処理すればよく,括弧を使う必要もないので,コンピュータが数式を取り扱うのに都合が良い。
 一般的な表記法の数式から逆ポーランド表記法への変換は,スタックを用いることで容易に実現できる。

〔逆ポーランド表記法への変換アルゴリズム〕
 一般的な表記法の数式を逆ポーランド表記法に変換するアルゴリズムでは,まず変換前の数式を,数値,演算子及び括弧の要素(以下,演算要素という)に分解する。
演算子には二項演算子十,-,×,÷を用い,括弧には"("と")"を用いる。
数値は0~9の1桁の数とする。それぞれの演算要素には,優先度を定義する。
 変換の処理には,変換前配列,スタック及び変換後配列を用いる。初期状態では,変換前配列には変換前の数式の演算要素が順に入っており,スタックと変換後配列は空の状態である。変換後には,変換後配列に逆ポーランド表記法に変換した結果が入る。例えば,変換前の数式が1+2×3の場合,初期状態は表1のようになる。
a

 逆ポーランド表記法への変換は,次の(1)~(4)の手順で行う。
(1)変換前配列の先頭から順に,演算要素を1個参照する。
  参照する演算要素がない場合は(4)に進む。
(2)スタック上に演算要素がある場合は,スタックの先頭にある演算要素の優先度を参照し, (1)の演算要素の優先度以上なら,スタックの先頭の演算要素をホップし,変換後配列の末尾に追加する。これを,スタックの先頭の演算要素の優先度が, (1)の演算要素の優先度未満になるまで繰り返す。ただし,スタックの先頭の演算要素が“(”の場合は,そこで繰返しを終了する。
(3)(1)で参照した演算要素が“)”なら,それを破棄し,その際スタックの先頭にあるはずの“(”もホップして破棄した後(1)に戻る。(1)で参照した演算要素が“)”以外なら,その演算要素をスタックにプッシュし. (1)に戻る。
(4)スタック上にある全ての演算要素を順番にホップし,変換後配列の末尾に追加する。

演算要素の優先度を表2に,数式1+2×3を変換するときの処理過程を図1に示す。
なお,図1中の丸で囲った演算要素は, (1)の手順で参照した演算要素である。
b
(後半略)

設問1 逆ポーランド表記法への変換について, (1), (2)に答えよ。
(1)数式(2+3)×4を逆ポーランド表記法に変換した結果を答えよ。
(2)表2及び表4中の[ ア ]~[ エ ]に入れる適切な二項演算子を、+,-,×,÷の中から一つずつ選んで,表を完成させよ。

(後半略)


(2)H28秋AP午前問3

問3 逆ポーランド表記法で表された式を評価する場合,途中の結果を格納するためのスタックを用意し,式の項や演算子を左から右に順に入力し処理する。スタックが図の状態のとき,入力が演算子となった。このときに行われる演算はどれか。ここで,演算は中置表記法で記述するものとする。
enzan
ア A 演算子 B   ウ C 演算子 D
イ B 演算子 A   エ D 演算子 C

中置表記法なので、3+4のように、演算子(×や+)が文字と文字の中に入ります。
ちなみに、逆ポーランド記法は、34+などと表記するので、後置記法と言われます。

 (詳しくは別途解説)
スタックは後入れ先出し法(LIFO)ですので、上から順に処理をします。
ただこのとき、リンクの図を見てもらうとわかるように、最初に演算する数値が下に来ます。よって、正解は、ウの C 演算子 D  です。

 

1.制御に関する理論

「制御に関する理論」に関して、応用情報のシラバスを引用します。

② センサ・アクチュエータの種類と動作特性
コンピュータ制御では,制御対象の光,温度,圧力などの状態をセンサで検出し,コンピュータが判断して,アクチュエータを通じて電動,油圧,水圧,空気圧などの機械的な動作に変換し,制御対象を一定の状態に保つなどの制御を行うことを理解する。

用語例 光学センサ,イメージセンサ,レーザセンサ,赤外線センサ,X 線センサ,磁気センサ,加速度センサ,ジャイロセンサ,超音波センサ

③ 計測システムの種類と動作特性
測位システムなど,コンピュータを利用した高度な計測システムの考え方,仕組みを理解する。

用語例 GPS基地局測位,無線LAN アクセスポイント測位

コンピュータや電子機器、家電などには、これらのセンサーや計測システムが導入されて、うまく動作するようになっているのです。

2.ジャイロセンサ

ジャイロセンサとは、角速度を計測するセンサーです。角速度とは、角(角度)の速度なので、回転するスピードと考えてください。たとえば、デジカメの手ぶれ防止機能は、このジャイロセンサで手ぶれを検知します。

過去問(H29秋AP午前問71)では、ジャイロセンサに関して、「ドローン,マルチコプタなどの無人航空機に搭載されるセンサのうち,機体を常に水平に保つ姿勢制御のために使われる」と述べられています。

3.センサーに関する過去問

(1)H29秋AP午前問71
問71 ドローン,マルチコプタなどの無人航空機に搭載されるセンサのうち,機体を常に水平に保つ姿勢制御のために使われるセンサはどれか。
ア 気圧センサ      ウ 地磁気センサ
イ ジャイロセンサ    エ 超音波センサ




【正解】イ

 

(2)H27春AP午前問4
問4 携帯端末に搭載されているジャイロセンサが検出できるものはどれか。
ア 端末に加わる加速度   イ 端末の角速度
ウ 地球上における高度   エ 地球の磁北




【正解】イ

 

 

1.BNF(Backus-Naur Form)

バッカスナウアーフォームと読みます。
我々が日常で話す言葉が自然言語ですが、そのコンピュータに理解しろというのは無理があります。そこで、ルール(形式)に基づいた言語を形式言語と言います。その代表がBNFです。

BNFでは、2つのルールだけ覚えましょう。

➀ ::= ⇒ 定義する
② |   ⇒ または

では、例を見ましょう。
bnf
上記のルールに従うと、<digit>には数字の0か1か2か3が入ります。

2.BNF(Backus-Naur Form)の過去問

(1)H29秋AP問2
問2 次のBNFにおいて非終端記号〈A〉から生成される文字列はどれか。
〈R0〉::=0|3|6|9
〈R1〉::=1|4|7
〈R2〉::=2|5|8
〈A〉 ::=〈R0〉|〈A〉〈R)〉|〈B〉〈R2〉|〈C〉〈R1〉
〈B〉 ::=〈R1〉|〈A〉〈R1〉|〈B〉〈R0〉|〈C〉〈R2〉
〈C〉 ::=〈R2〉|〈A〉〈R2〉|〈B〉〈R1〉|〈C〉〈R0〉
ア 123   イ 124   ウ 127   エ 128




【正解】ア

(2)平成29年春期 午前

問4 あるプログラム言語において,識別子(identifier)は,先頭が英字で始まり,それ以降に任意個の英数字が続く文字列である。これをBNFで定義したとき,aに入るものはどれか。

bnf

1行目から順に解説します。
・<digit>の右に::=がありますので、<digit>という言葉を定義しています。具体的な定義内容は右側にあり、|で区切られているので、0または1または2または・・・9のいずれかの値を取ります。つまり、<digit>は任意の1桁の数字が入ることがわかります。
 ・同様に、<letter>には大文字小文字を含めた任意のアルファベット1文字が入ります。

さて、ここで、設問文に「識別子(identifier)は,先頭が英字で始まり,」とあります。よって、数字だけの<digit>は対象外になります。残るはウかエです。
設問文に「任意個の英数字が続く文字列」とありますから、、<digit>の数字だけでなく、<letter>の文字も入ります。よって、正解はエです。

以下は、検証です。(メモ程度にお考えください)
・<identifier>は、<letter>または <identifier><digit>または<identifier><letter>です。順に説明します。
①<letter>の場合
任意のアルファベット1文字が入ります。
② <identifier><digit>の場合
<identifier>が取りうる値+任意の数字1文字が入ります。
③ <identifier><letter>の場合
<identifier>が取りうる値+任意のアルファベット1文字が入ります。

①の法則にしたがうと、<identifier>は例えばA、②の法則にしたがうと、<identifier>は例えばA1、③の法則にしたがうと、<identifier>は例えばA1Bです。さらに、この値をもって②や③の法則に当てはめると、たとえばA1B2、A1BC、となります。ここに挙げた5個のいずれの場合でも、<identifier>は先頭が英字で始まり,それ以降に任意個の英数字が続く文字列となります。

 

1.待ち行列とは

 銀行の窓口やスーパーのレジなど、処理の順番を待つための行列ができることがあります。このときの、平均待ち時間を計算するのが待ち行列の理論です。待ち行列の計算は、窓口の要員数を決定することなどに活用されます。
 以下の図を見て下さい。銀行に一つの窓口があり、窓口でサービスを受けている人と、順番を待っている人がいます。窓口で口座開設などの手続きを受けたりするなどのサービスを受けます。この時間をサービス時間と言います。また、待っている時間を待ち時間、サービス時間と待ち時間を合わせて応答時間と言います。

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2.待ち行列で覚えるべき公式

M/M/1の問題は難しいと思う人、簡単と思う人の両方がいるでしょう。ポアソン分布であったり、指数分布であったり難しい言葉が並びます。難しいと感じる人も多いと思います。
しかし、以下の公式を1つ覚えるだけで解けます。

【公式】
平均待ち時間=ρ÷(1-ρ)X T
・ρは窓口の利用率(必ず1以下)
・Tはサービス時間

今回、平均待ち時間=Tであるため
T=ρ÷(1-ρ)X T

これを解くと
ρ=0.5が導き出せます。
問題文を読み解くとという重要な力は必要ですが、内容そのものは単純な問題です。

3.【参考】M/M/1の説明

・M:単位時間に到着する客の数はポアソン分布に従う(つまりランダム)。別の言い方をすると、一様分布でどの値も確率は同じ。たとえば、(0,1)の一様分布といえば、0.001 0.002 などの点が同じ確率で存在する。
・M(Markov):サービス時間は指数分布に従う(長いサービス時間になるほど量は減る)

・1:窓口は一つである。
※平成16年 問8参照
ちなみに、M/D/1の場合、サービス時間のD(Deterministic)は一定時間

4.待ち行列の過去問

(1)H28春AP問3
問3 多数のクライアントが,LANに接続された1台のプリンタを共同利用するときの印刷要求から印刷完了までの所要時間を,待ち行列理論を適用して見積もる場合について考える。プリンタの運用方法や利用状況に関する記述のうち,M/M/1の待ち行列モデルの条件に反しないものはどれか。
ア 一部のクライアントは,プリンタの空き具合を見ながら印刷要求をする。
イ 印刷の緊急性や印刷量の多少にかかわらず,先着順に印刷する。
ウ 印刷待ち文書の総量がプリンタのバッファサイズを超えるときは,一時的に受付を中断する。
エ 一つの印刷要求から印刷完了までの所要時間は,印刷の準備に要する一定時間と,印刷量に比例する時間の合計である。




【正解】イ

(2)H27春
問1 ATM(現金自動預払機)が1台ずつ設置してある二つの支店を統合し,統合後の支店にはATMを1台設置する。統合後のATMの平均待ち時間を求める式はどれか。ここで,待ち時間はM/M/1の待ち行列モデルに従い,平均待ち時間にはサービス時間を含まず,ATMを1台に統合しても十分に処理できるものとする。
〔条件〕
(1)統合後の平均サービス時間:Ts
(2)統合前のATMの利用率:両支店ともρ
(3)統合後の利用者数:統合前の両支店の利用者数の合計
H27h-1


【正解】エ

(3)H26秋AP問3
問3 コンピュータによる伝票処理システムがある。このシステムは,伝票データをためる待ち行列をもち, M/M/1の待ち行列モデルが適用できるものとする。平均待ち時間がT秒以上となるのは,処理装置の利用率が少なくとも何%以上となったときか。ここで,伝票データをためる待ち行列の特徴は次のとおりである。
  ・伝票データは,ポアソン分布に従って発生する。
  ・伝票データのたまる数に制限はない。
  ・1件の伝票データの処理時間は,平均T秒の指数分布に従う。
ア 33   イ 50   ウ 67   エ 80


【正解】イ

(4)H25秋AP問5
問5 通信回線を使用したデータ伝送システムにM/M/1の待ち行列モデルを適用すると,平均回線待ち時間,平均伝送時間,回線利用率の関係は,次の式で表すことができる。
h25a-5
 回線利用率が0%から徐々に上がっていく場合,平均回線待ち時間が平均伝送時間よりも最初に長くなるのは,回線利用率が何%を超えたときか。
ア 40   イ 50   ウ 60   エ 70




【正解】イ

(5)H20問秋AD午前問13
問13 待ち行列モデルの適用事例として,適切なものはどれか。
ア 1回当たりの発注コスト, 1個当たりの在庫維持コストなどを基に,在庫商品の発注量を決定する。
イ 過去何年か分の売上データを時系列に並べ,推移状況を比較することによって,次年度の売上を予測する。
ウ 画像情報の密度,大きさ,平均圧縮率,通信速度などを基に,必要な通信時間を計算する。
エ 電話の平均受付回数,平均対応時間などを基に,問合せに対応するサービスデスクの要員数を決定する。



正解は、エです。

1.文字コードとは

コンピュータは漢字やひらがなをそのまま理解することはできません。そこで、漢字やひらがななどの文字を、01データで表す変換が必要になります。この対応のことを文字コードと言います。
文字コードにはいくつかの種類がありますが、たとえば、JISコードの変換表(一部)をみてみましょう。

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■JISコード表(抜粋)

たとえば、ひらがなの「あ」のJISコードは、上記の表から「2224」、「い」であれば「2424」です。
ひらがなカタカナ以外にも、アルファベット、数字、記号なども対応が決められています。

2.さまざまな文字コード

文字コードは1種類ではありません。応用情報技術者試験のシラバスでは、文字コードに関して以下の記載があります。
(3)文字の表現
代表的な文字コードを理解する。
用語例 ASCII コード,EUC(Extended UNIX Code:拡張UNIX コード),JIS コード,シフトJIS コード,Unicode,UCS
このように、いくつかの種類があります。また、先ほどの「あ」ですが、JISコードでは「2422」でしたが、シフトJISでは「82A0」、EUC-JPでは「A4A2」と、文字コードが違えば、全く違うコードになります。

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なるほど!
それで、文字コードが違うと、全く違う文字になって文字化けするのですね。
そうです。では、具体的な文字コードを見ていきましょう。
平成18年 午前 問55を参考にすると、以下のようになります。

①ASCII(American Standard Code for Information Interchange)
ANSI(アメリカの規格団体。日本でいうJIS)
全ての文字を1バイトで表現する。※実際にはわずか7ビット(=128文字)
1バイトで、128文字しか表せないので、漢字は表現することは不可能。⇒できない。Shift-JISやUnicodeなどのマルチバイト文字で表現する必要がある。

ASCIIコードによる文字表記を具体的に考えましょう。1バイトなので8ビットです。
0000 0000 からはじまり、最後は1111 1111 までです。
いくつかの例を紹介します。

文字    16進数表記     2進数表記
0        30(0x30)     0011 0000
1        31(0x31)     0011 0001
a        61(0x61)     0110 0001
b        62(0x62)     0110 0010
LF       0a(0x0a)     0000 1010
CR       0d(0x0d)     0000 1101
-        2d(0x2d)     0010 1101
.        2e(0x2e)     0010 1110

変換ツールとしては、以下があります。
http://web-apps.nbookmark.com/ascii-converter/

②EUC(Extended Unix Code)
・UNIXを中心に普及している複数バイトからなるコードで、漢字も表現できるもの(平成16年 問50)
・英数字は1バイト、漢字は2バイト(H17共通39)

③Unicode または UCS
・万国共通の文字コード
・すべての文字を2バイトで表現するコード体系であり、多くの国の文字体系に対応できる。(H17共通39)
・UCS-2 (Universal multi-octet coded Character Set)とUCSは厳密には別物であるが、UnicodeはUCSの一部であり、同じと考えてよいだろう。
過去問では、「すべの文字を2バイトで表現するコード体系であり、多くの国の文字体系に対応できる(H20AN午前40)」と述べられており、Unicodeと同じ表現になっている。

④シフトJIS
1バイト目がASCIIコードと重複しないようにSHIFT(ずらす)

■バイナリ
「こんにちは」「Hello」などのテキストデータは人間には読みやすいですが、コンピュータはこのままでは理解できません。コンピュータが理解できるのはあくまでも0と1です。
バイナリ(binary) とは0と1からなる「2進数」を意味する。ただ、バイナリデータ、バイナリファイルという表現を使うことで、テキストデータではなく、0と1で構成されたファイルを意味する。(といっても、テキストデータもコンピュータが理解するときには01で理解するので、テキストデータもバイナリである)。バイナリファイルの代表には、画像や音声ファイルがある。また、ソースプログラムをコンパイルした実行ファイルもバイナリと言われる。

3.文字コードに関する過去問

問4 UTF-8の説明に関する記述として,適切なものはどれか。
ア 1文字を1バイトから4バイト(又は6バイト)までの可変長で表現しており,ASCIIと上位互換性がある。
イ 2バイトで表現する領域に収まらない文字は,上位サロゲートと下位サロゲートを組み合わせて4バイトで表現する。
ウ ASCII文字だけを使用することが前提の電子メールで利用するために,7ビットで表現する。
エ 各符号位置が4バイトの固定長で表現される符号化形式である。





【正解】ア

■H29秋AP
問1 相関係数に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 全ての標本点が正の傾きをもつ直線上にあるときは,相関係数が+1になる。
イ 変量間の関係が線形のときは,相関係数が0になる。
ウ 変量間の関係が非線形のときは,相関係数が負になる。
エ 無相関のときは,相関係数が-1になる。





【正解】ア

問3 四つのアルファベットa~dから成るテキストがあり,各アルファベットは2ビットの固定長2進符号で符号化されている。このテキストにおける各アルファベットの出現確率を調べたところ,表のとおりであった。各アルファベットの符号を表のような可変長2進符号に変換する場合,符号化されたテキストの,変換前に対する変換後のビット列の長さの比は,およそ幾つか。
H29a-3表
ア 0.75   イ 0.85   ウ 0.90   エ 0.95





【正解】エ

■H29春AP
問3 ノートとノートの間のエッジの有無を,隣接行列を用いて表す。ある無向グラフの隣接行列が次の場合,グラフで表現したものはどれか。ここで,ノートを隣接行列の行と列に対応させて,ノート間にエッジが存在する場合は1で,エッジが存在しない場合は0で示す。
H29h-3_1
H29h-3_2





【正解】ウ

問5 次の数式は,ある細菌の第n世代の個数f(n)が1世代後にどのように変化するかを表現したものである。この漸化式の解釈として,1世代後の細菌の個数が,第n世代と比較してどのようになるかを適切に説明しているものはどれか。

f(n+1)+0.2×f(n)=2×f(n)

ア 1世代後の個数は,第n世代の個数の1.8倍に増える。
イ 1世代後の個数は,第n世代の個数の2.2倍に増える。
ウ 1世代後の個数は,第n世代の個数の2倍になり,更に増殖後の20%が増える。
エ 1世代後の個数は,第n世代の個数の2倍になるが,増殖後の20%が死ぬ。





【正解】ア

■H27秋AP
問3 3台の機械A,B,Cが良品を製造する確率は,それぞれ60%,70%,80%である。機械A,B,Cが製品をーつずつ製造したとき,いずれか二つの製品が良品で残り一つが不良品になる確率は何%か。
ア 22.4   イ 36.8   ウ 45.2   エ 78.8





【正解】ウ

■H27春AP
問3 製品100個を1ロットとして生産する。一つのロットからサンプルを3個抽出して検査し,3個とも良品であればロット全体を合格とする。100個中に10個の不良品を含むロットが合格と判定される確率は幾らか。
H27h-3





【正解】イ

■H26秋AP
問5 グラフに示される頂点V1からV4,V5,V6の各点への最短所要時間を求め,短い順に並べたものはどれか。ここで,グラフ中の数値は各区間の所要時間を表すものとし,最短所要時間が同一の場合には添字の小さい順に並べるものとする。
H26a-5
ア V4,V5,V6   イ V4,V6,V5
ウ V5,V4,V6   エ V5,V6,V4





【正解】イ

■H26春AP
問2 三つのグラフA~Cの同形関係に関する記述のうち,適切なものはどれか。ここで,二つのグラフが同形であるとは,一方のグラフの頂点を他方のグラフの頂点と1対1に漏れなく対応付けることができ,一方のグラフにおいて辺でつながれている頂点同士は他方のグラフにおいても辺でつながれていて,一方のグラフにおいて辺でつながれていない頂点同士は他方のグラフにおいても辺でつながれていないことをいう。
H26h-2
ア AはCと同形であるが,Bとは同形でない
イ BはCと同形であるが,Aとは同形でない
ウ どの二つのグラフも同形である。
エ どの二つのグラフも同形でない。





【正解】ア

■H25秋AP
問1 会員を4桁の会員番号で管理している小売店がある。会員の中には,4と9の数字を嫌う人がいるとの理由で,会員番号は,0001,0002,0003,0005,…のように,この二つの数字を使わないように連番で発行している。会員番号を0001から0528まで発行したとき,会員番号を付与した会員数は何人か。
ア 279   イ 344   ウ 422   エ 427





【正解】ア

 

平成28年秋期 午前 問2 

問2 0 ≦ x ≦ 1の範囲で単調に増加する連続関数f(x)がf(0)<0≦f(1)を満たすときに,区間内でf(x)=0であるxの値を近似的に求めるアルゴリズムにおいて,(2)は何回実行されるか。
28-問2






正解は、アです。

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