1.システムの性能
応用情報技術者試験のシラバスでは、「システムの評価指標」に関して、以下の記載があります。
(1)システムの性能特性と評価 ① システムの性能指標 システムの性能を評価する際の評価項目の種類や特徴,その指標を理解する。 用語例 レスポンスタイム(応答時間),スループット,ベンチマーク,システムモニタ,TPC,SPEC(Standard Performance Evaluation Corporation),SPECint,SPECfp,モニタリング,ギブソンミックス ② キャパシティプランニング キャパシティプランニングの目的,考え方,システムに求められる処理の種類,量,処理時間などを検討し,性能要件からサーバやストレージなどの性能諸元を見積り,システムの性能を継続的に把握,評価するという手順を理解する。 用語例 負荷,サイジング,スケールアウト,スケールアップ,容量・能力管理,システムパラメータ,プロビジョニング |
性能を評価する指標には、例えば以下があります。
①スループット
単位時間あたりの処理量
・過去問(H24春AP午前問18)では、「スループットの説明」として,「単位時間当たりのジョブの処理件数のことであり,スプーリングはスループットの向上に役立つ」とあります。
②レスポンスタイム(応答時間)
2.システムの性能の過去問を解いてみよう
(1)H29秋問14 (H27秋 問13も同じ)
次のシステムにおいて,ピーク時間帯のCPU使用率は何%か。ここで,トランザクションはレコードアクセス処理と計算処理から成り,レコードアクセスはCPU処理だけでI/Oは発生せず,OSのオーバヘッドは考慮しないものとする。また,1日のうち発生するトランザクション数が最大になる1時間をピーク時間帯と定義する。 〔システムの概要〕 (1)CPU数:1個 (2)1日に発生する平均トランザクション数:54,000件 (3)1日のピーク時間帯におけるトランザクション数の割合:20% (4)1トランザクション当たりの平均レコードアクセス数:100レコード (5)1レコードアクセスに必要な平均CPU時間:1ミリ秒 (6)1トランザクション当たりの計算処理に必要な平均CPU時間:100 ミリ秒 ア 20 イ 30 ウ 50 エ 60 |
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【正解】エ
(2)H29秋
問15 ジョブの多重度が1で,到着順にジョブが実行されるシステムにおいて,表に示す状態のジョブA~Cを処理するとき,ジョブCが到着してから実行が終了するまでのターンアラウンドタイムは何秒か。ここで,OSのオーバヘッドは考慮しないものとする。 ア 11 イ 12 ウ 13 エ 14 |
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【正解】ア
(3)H29春
問13 CPUと磁気ディスク装置で構成されるシステムで,表に示すジョブA,Bを実行する。この二つのジョブが実行を終了するまでのCPUの使用率と磁気ディスク装置の使用率との組合せのうち,適切なものはどれか。ここで,ジョブA,Bはシステムの動作開始時点ではいずれも実行可能状態にあり,A,Bの順で実行される。 CPU及び磁気ディスク装置は,ともに一つの要求だけを発生順に処理する。ジョブA,Bとも,CPUの処理を終了した後,磁気ディスク装置の処理を実行する。 |
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【正解】イ
CPU、ディスクはそれぞれ1つしかないので、順番に使用します。全体としては、上記のような図になります。
全体で25秒ですから、CPUの使用率は、(3+12)÷25=0.6 ディスク使用率は、(7+10)÷25=0.68 です。
(4)H29春
問14 コンピュータシステムの性能評価法の一つであるモニタリングの説明として,適切なものはどれか。 ア 各プログラムの実行状態や資源の利用状況を測定し,システムの構成や応答性能を改善するためのデータを得る。 イ システムの各構成要素に関するカタログ性能データを収集し,それらのデータからシステム全体の性能を算出する。 ウ 典型的なプログラムを実行し,入出力や制御プログラムを含めたシステムの総合的な処理性能を測定する。 エ 命令を分類し,それぞれの使用頻度を重みとした加重平均によって全命令の平均実行速度を求める。 |
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【正解】ア
(5)H28秋午前
問15 オンライントランザクション処理システムにおいて, 1分当たりの平均トランザクション数が1,200件であり, 1件のトランザクション処理で100万命令を実行する場合, CPU性能が100 MIPS のコンピュータを使用したときのCPUの平均利用率は何%か。 ア 5 イ 10 ウ 15 エ 20 |
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【正解】エ
(6)H27春 問13 (H25秋問15も同じ)
1件のデータを処理する際に,読取りには40ミリ秒,CPU処理には30ミリ秒,書込みには50ミリ秒掛かるプログラムがある。このプログラムで,n件目の書込みと並行してn+1件目のCPU処理とn+2件目の読取りを実行すると,1分当たりの最大データ処理件数は幾つか。ここで,OSのオーバヘッドは考慮しないものとする。 ア 500 イ 666 ウ 750 エ 1,200 |
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【正解】エ
(7)H26秋
問13 次の条件で運転するクライアントサーバシステムにおいて,ネットワークに必要な転送速度は,最低何ビット/秒か。 〔条件〕 (1)トランザクション1件の平均的な処理は,CPU命令300万ステップとデータ入出力40回で構成され,ネットワークで転送されるデータは送受信それぞれ1,000バイトである。 (2)サーバでのCPU命令1ステップの平均実行時間は300ナノ秒である。 (3)データ入出力は1回平均20ミリ秒で処理されている。 (4)1バイトは8ビットとする。 (5)クライアントにおけるデータの送信開始から受信完了までに許容される時間は2.5秒である。 (6)サーバは1CPU,1コアで構成されている。 (7)待ち時間及びその他のオーバヘッドは考慮しない。 ア 10,000 イ 16,000 ウ 20,000 エ 25,000 |
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【正解】ウ
(8)H26春
問14 あるクライアントサーバシステムにおいて,クライアントから要求された1件の検索を処理するために,サーバで平均100万命令が実行される。1件の検索につき,ネットワーク内で転送されるデータは平均2×105バイトである。このサーバの性能は100 MIPSであり,ネットワークの転送速度は8×107ビット/秒である。このシステムにおいて,1秒間に処理できる検索要求は何件か。ここで,処理できる件数は,サーバとネットワークの処理能力だけで決まるものとする。また,1バイトは8ビットとする。 ア 50 イ 100 ウ 200 エ 400 |
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【正解】ア