・E-R図とほぼ一緒です。でも、厳密には違います。
・E-R図はエンティティの関連図ですが、クラス図はオブジェクトの関連図です。ただ、エンティティもオブジェクトも表現は違えど、実際に指し示しているものは同じであったりします。
・多重度(1対1や1対多)も記載できる。
・UMLのクラス図が表わす内容は、汎化、集約、関連などのクラス間の関係(H21応用情報/秋問43)
・過去問(H20NW午前問14)では、「UMLのクラス図に記述できるものはどれか」という問題で、「多重度」が正解でした。

H20アプリケーションエンジニア試験 午後1問4にクラス図があるので、これをもとに解説します。
以下がその抜粋です。
クラス図1
また、凡例とその説明が書かれてあります。
クラス図2
凡例の解説を引用しながら補足します。

■クラスとオブジェクト
・クラスの前にオブジェクトを説明します。オブジェクトとは物と考えれば良いでしょう。この場合の、宿泊や顧客もすべてオブジェクトです。ただ、厳密にはちょっと違います。
顧客を例にとると、鈴木さん、伊藤さん、山田さん、それぞれがオブジェクトです。一方、クラスとは、それらを包含して概念化したものである。この場合は、顧客がクラスで、鈴木さん、伊藤さん、などの個々を特定するものがオブジェクト。
・□の上段にはクラス名として、宿泊や顧客、宿泊明細が記載されています。これがオブジェクトになる場合は、UMLではアンダーラインが引かれ、オブジェクトであることが明示されます。
・(参考)クラスを実体化するとオブジェクトになるように、このような実体のことをインスタンスという。

■属性
・クラス図の中段の長方形は属性を表します。顧客クラスを例にすると、顧客番号、顧客名が属性です。このあたりはE-R図と同じです。

■操作
・クラス図の下段の長方形は操作を表します。
・操作とは文字通りの意味ですが、宿泊には「宿泊情報取得()」という操作があります。()の中は引数を表していますが、スペースの関係で省略されています。
・操作の例として以下が書かれています。
予約管理クラスの操作として、空室客室情報取得(客室番号のリスト)という操作があります。この操作の中身は、「予約済の客室番号のリストを引数として、予約済以外の客室番号と客室タイプコードの組のリストを取得」とあり、客室クラスへの操作であることが分かります。ちょっとややこしいですが、予約管理で保有している予約済の客室番号のリストを客室クラスに渡し、それを元に客室クラスから予約済以外の客室番号のリストを取得するという操作であると想定されます。

■多重度
・クラス間を結ぶ線はクラス間の関連を表します。
・その線に書かれてあるx...yは、クラス間の多重度を表します。これはE-R図と同じです。
・ひし形の部分は、部分と全体を表し、集約と言います。「部分と全体」という表現がなんとなくしっくりきません。外部キーで接続されていると考えるのがよいかもと思っていますが、ちょっと怪しい。
※スーパークラスとサブクラスの関係である汎化とは違う概念なので、注意が必要です。汎化の関係は、テーブル上の属性が一部異なると考えるとよい。一般顧客、優良顧客、関連顧客などがあり、名前、住所などの共通する属性をスーパークラスの顧客とするような場合である。この場合は、△矢印であらわされる。それ以外には、依存関係は点線矢印、インターフェースは△点線矢印

コンポジション(黒のひし形◆)は、全体と一部分を表す関係です。
白のひし形(◇)もありますが、こちらは「一部分」がインスタンスとして独立できる関係か否かです。
たとえば、「注文」が取り消されれば「注文明細」は存在できなくなります。その場合が黒で、一部分が存在し続けるのであれば白です。

以下の過去問(H18春FE午前問39)で整理します。
問39 UMLのクラス図において,集約の関係にあるクラスはどれか。
uml
ア クラスAとクラスB    イ クラスAとクラスC 
ウ クラスBとクラスD    エ クラスCとクラスD

順にみていきましょう。
ア:→は通常のE-R図のような、1対多の関係を表すものです。
イ:◇は、「全体ー部分」の関係です。「全体ー部分」は、集約と分解の関係ですから、たとえば、自動車とハンドルやタイヤの関係です。
エ:△は、スーパークラスとサブクラスの関係です。