・CSF(Critical Success Factors):重要成功要因
・KPI(Key Performance Indicator):重要業績評価指標
・KGI(Key Goal Indicator):重要目標達成指標

KGIはGoalという言葉が入っているように、最終目標(ゴール)である。KPIはKGIという目標を達成するための細分化された指標になる。ITILでは、KGIは「SLAを遵守する」ことであり、そのKGIを達成するために各プロセスにおいてKPIを設定する。
CSF(Critical Success Factors)は重要成功要因のことである。
例えば、リリース管理におけるCSFは、リリース作業を実施する要因が十分に訓練されていること。

過去問(H29春AP午前問10)を参考にすると、「インシデント及びサービス要求管理プロセス」のCSFとKPIとして、次が記載されています。
CSF
(重要成功要因)
インシデントをできるだけ迅速に解決し,業務への影響を最小限にする
このCSFに対応したKPI
(重要業績評価指標)
・インシデントの解決に掛かった優先度別の平均所要時間
・業務に影響を与えることなく解決したインシデントの数
KPIですが、 1点目は、平均所要時間が短ければ、インシデント対応の迅速さを評価できます。また、2点目ですが、該当のインシデントの数が少なければ、業務への影響が少なかったことが評価できます。

■別の過去問より
H22ST午前2-3にいい例が載っている。この例では、(1)→(2)→(3)が流れとして説明されている。
(1)KGI: 10%の物流コストの削減
(2)CSF: 在庫の削減
誤出荷の削減
(3)KPI: 在庫日数7日以内
誤出荷率3%以内
KGIとKPIは、指標(Indicator)であるため、具体的な数値が定められている。
CSFとKPIは、この場合は完全にリンクしているが、本来そういうものなのかは疑問である。調査が必要。

■ITサービスマネジメントの各プロセスにおけるKPIを紹介します。
あくまでも一例です。
①構成管理のKPI
構成管理が効率よく機能しているかを評価するKPIには、以下があります。
・CIと実際の状態の差異件数(割合)
・変更があってからCMDBに反映されるまでの時間
※1つ目の中には、違反したソフトウェアライセンスの件数や、逆に無駄(使用しない)
ライセンスの件数も含まれる。

②変更管理のKPI
変更管理が効率よく機能しているかを評価するKPIには、以下があります。
・変更が予定通りに実施された割合
・変更後の顧客満足度
・変更にかかったコスト
※変更が予定通りに実施されたかというのは、リリース管理での指標でもあります。しかし、だからといって、変更管理におけるKPIとならないわけではありません。その計画をしているのは変更管理であるため、計画面での評価という意味で、大切なKPIでしょう。
※コストは、変更管理以外のKPIとなりえます。ただ、変更管理では、やり方によってコストが大きく変わってくるので、入れてあります。

③問題管理のKPI
問題管理のKPIは、インシデント管理のKPIと似ているというか、考え方は同一でしょう。
問題管理が効率よく機能しているかを図るKPIには、以下があります。
インシデント管理と同様に、コスト面などの指標も多数考えられますが、本質論は以下でしょう。
・問題を解決までの時間(または、SLAの基準以内である割合)
・問題の解決率(または解決した件数、解決しない件数)
・ITサービスが停止している時間 ※プロアクティブな活動が機能していれば、この時間が短くなる。

④インシデント管理のKPI
インシデント管理が効率よく機能しているかを図るKPIには、以下があります。他にも、コスト面や顧客満足度などの面からKPIを定めることができます。が、インシデント管理の本質論からいうと、以下の3つが中心になると考えてます。
---処理能力という観点から、、、
・単位時間あたりのインシデントの処理件数
---対応能力という観点から、、、
・インシデントの対処終了までの時間(または、SLAの基準以内である割合)
・1次サポートでの解決率

⑤リリース管理のKPI
リリース管理が効率よく機能しているかを評価するKPIには、以下があります。
・リリースが予定通りに実施された割合(または、リリース時にインシデントが発生した件数、リリースされずに切り戻した件数)
・リリース後の不具合件数

■平成29年春期 午前 問55
問55 ITIL 2011 edition の可用性管理プロセスにおいて,ITサービスの可用性と信頼性の管理に関わるKPIとして用いるものはどれか。

ア サービスの中断回数及びそのインパクトの削減率
イ 災害を想定した復旧テストの回数
ウ 処理能力不足に起因するインシデント数の削減率
工 目標を達成できなかったSLAの項目数




正解は、アです。

■H29春AP午前
問63 1T投資に対する評価指標の設定に際し,バランススコアカードの手法を用いてKPIを設定する場合に,内部ビジネスプロセスの視点に立ったKPIの例はどれか。
ア 売上高営業利益率を前年比5%アップとする。
イ 顧客クレーム件数を1か月当たり20件以内とする。
ウ 新システムの利用者研修会の受講率を100%とする。
エ 注文受付から製品出荷までの日数を3日短縮とする。




ア:財務
イ:顧客
ウ:学習と成長
エ:正解選択肢。内部ビジネスプロセス
正解:エ