
労働者派遣法の目的は、この法律の「第一条」から抜粋すると、「労働力の需給の適正な調整を図るため労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置を講ずるとともに、派遣労働者の保護等を図り、もつて派遣労働者の雇用の安定その他福祉の増進に資すること」とあります。

情報処理技術者試験では、この3者の関係をきちんと理解する必要があります。
①派遣元事業主と派遣先事業主:派遣契約
②派遣元事業主と派遣労働者:雇用関係
③派遣先事業主と派遣労働者:指揮命令関係
図で表すと、このようになります。

では、過去問(H26年春高度共通午前)を見てみましょう。
問30 労働者派遣法に基づいた労働者の派遣において,労働者派遣契約の関係が存在するのはどの当事者の間か。 ア 派遣先事業主と派遣労働者 イ 派遣先責任者と派遣労働者 ウ 派遣元事業主と派遣先事業主 エ 派遣元事業主と派遣労働者 |
正解はウです。
もう一問、違う過去問(H21年秋SM午前2)を見てみましょう。
問25 労働者派遣法に適合するものはどれか。 ア 派遣契約の内容にかかわらず合理的な理由がある場合には,派遣先の作業指示者の判断で派遣労働者に残業を命じることができる。 イ 派遣先の事業所に属する従業員はだれでも,派遣労働者に業務命令を行うことができる。 ウ 労働者派遣法で認められた業務であれば,派遣先の判断で派遣労働者の業務内容を変更できる。 工 労働者派遣法で認められた特殊な技能を要する業務であれば,同一人の派遣を3年を超えて行うことができる。 |

労働者派遣法では、派遣先責任者として、次の記載があります。
(派遣先責任者) 第四十一条 派遣先は、派遣就業に関し次に掲げる事項を行わせるため、厚生労働省令で定めるところにより、派遣先責任者を選任しなければならない。 一 次に掲げる事項の内容を、当該派遣労働者の業務の遂行を指揮命令する職務上の地位にある者その他の関係者に周知すること。 イ この法律及び次節の規定により適用される法律の規定(これらの規定に基づく命令の規定を含む。) ロ 当該派遣労働者に係る第三十九条に規定する労働者派遣契約の定め ハ 当該派遣労働者に係る第三十五条の規定による通知 二 第四十条の二第五項及び次条に定める事項に関すること。 三 当該派遣労働者から申出を受けた苦情の処理に当たること。 四 当該派遣労働者の安全及び衛生に関し、当該事業所の労働者の安全及び衛生に関する業務を統括管理する者及び当該派遣元事業主との連絡調整を行うこと。 五 前号に掲げるもののほか、当該派遣元事業主との連絡調整に関すること。 |
では、過去問(H25年秋ST午前2)を見てみましょう。
問25 派遣労働者の受入れに関する記述のうち,派遣先責任者の役割,立場として,適切なものはどれか。 ア 派遣先責任者は,派遣先管理台帳の管理,派遣労働者から申出を受けた苦情への対応,派遣元事業主との連絡調整,派遣労働者の人事記録と考課などの任務を行わなければならない。 イ 派遣先責任者は,派遣就業場所が複数ある場合でも,一人に絞って選任されなければならない。 ウ 派遣先責任者は,派遣労働者が従事する業務全般を統括する管理職位の者の内から選任されなければならない。 エ 派遣先責任者は,派遣労働者に直接指揮命令する者に対して,労働者派遣法などの関連法規の規定,労働者派遣契約の内容,派遣元からの通知などを周知しなければならない。 |

組織における内部不正防止ガイドライン(http://www.ipa.go.jp/files/000044615.pdf)から引用します。
(4) 労働者派遣法 従業員は、労働契約に付随する義務として秘密保持義務を負いますが、派遣先企業と派遣労働者との間には労働契約が存在しません。派遣先企業は、派遣労働者に秘密保持義務を直接負わせることはできないため、企業を介して派遣労働者に秘密保持をさせるためには、労働者派遣法への考慮が必要です。 |
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