1.SIMDとMIMD

プロセッサの並列処理方式には、データおよび命令が単数か複数かによって、いくつかの方式に分けられます。その中で、代表的なのがSIMDとMIMDです。

(1)SIMD(Single Instruction Multiple Data)

 SIMD は、1つ(Single)の命令(Instruction)で、複数(Multiple)のデータ(Data)に対して並列処理を行います。かつてのプロセッサは、仕事を1つずつしか実行できませんでした。たとえば、各営業所の売上データを調べる仕事があれば、営業所を順に問い合わせるのです。しかし、SIMDによる並列処理ができるプロセッサの登場により、同じ仕事を同時に行えるようになりました。具体的には、「売上データを教えて」という一つの命令で、全営業所のデータに一斉に問い合わせることができます。
応用情報技術者試験を勉強する成子 
ここでいうデータとは、具体的に何なのでしょうか。
ファイルですか?それとも、データベースですか?
あまり厳密に考える必要はありませんが、広い意味で「メモリ」と考えてください。ファイルやDBもメモリにキャッシュされて処理されるからです。

(2)MIMD(Multiple Instruction Multiple Data)

 MIMDは、現在の商用超並列コンピュータの多くが採用しているマルチプロセッサの処理方式です。SIMDは、1つの命令でしたが、MIMDは複数の命令(Multiple Instruction)を並列に実行できます。先の売上データの例でいうと、MIMDによる並列処理によって、売上データだけなく、利益データ、顧客一覧などの複数の問い合わせを一斉に行えるのです。

2.SIMDとMIMDの過去問を解いてみよう

(1)H28春

問9 並列処理方式であるSIMDの説明として,適切なものはどれか。
ア 単一命令ストリームで単一データストリームを処理する方式
イ 単一命令ストリームで複数のデータストリームを処理する方式
ウ 複数の命令ストリームで単一データストリームを処理する方式
エ 複数の命令ストリームで複数のデータストリームを処理する方式






【正解】イ
エはMIMD

(2)H27秋

問9 複数のデータに対して1個の命令で同一の操作を同時並列に行う方式で,マルチメディアデータなどを扱うCPUに採用されているものはどれか。
ア MIMD     イ MISD     ウ SIMD     エ SISD






【正解】ウ

(3)H25春(H27秋問9と同じ)

問8 現在の商用超並列コンピュータの多くが採用しているマルチプロセッサの処理方式の一つであり,プロセッサごとに異なる命令を並列に実行させるものはどれか。
ア CISC     イ MIMD     ウ RISC     エ SIMD






【正解】イ