記憶装置には、CPU内のレジスタ、キャッシュメモリ、メインメモリ(主記憶)、補助記憶装置(HDDなど)があります。試験で最も問われるのは、この中のキャッシュメモリとメインメモリです。※レジスタはCPUの中にある(小容量の)記憶装置と考えましょう。 

1.記憶装置とは

 コンピュータで利用される記憶装置には、主記憶装置と補助記憶装置があります。主記憶装置の代表例は主記憶(メインメモリ)です。主記憶装置は、プログラムやデータを一時的に記憶するためのものです。
補助記憶装置の代表例は、ハードディスクやUSBメモリがあります。これらは、電源を切った後もデータが保存されますので、長期にデータを記憶・保存することが可能です。
以下に、両者の違いを整理します。

 

概要

記憶装置の例

速度

価格

主記憶装置

CPUと直接アクセスできる記憶装置

・主記憶(メインメモリ)に使われるDRAM

・キャッシュメモリに使われるSRAM

速い

 

高い

 

補助記憶装置

CPUとは直接アクセスできない記憶装置(主記憶装置以外の記憶装置のこと)

・ハードディスク(磁気ディスク装置)

USBメモリ(フラッシュメモリ)

遅い

安い

※主記憶(メインメモリ)、キャッシュメモリ、DRAM、SRAMの言葉はこのあとに解説
 CPU,主記憶、補助記憶の関係は、机の上での仕事に置き換えられる例を見た人が多いでしょう。
皆さん、机の上で仕事をしますよね。皆さんの頭脳がCPUです。
メモリは机や書庫です。机の上に書類や資料を置きます。
机の上がキャッシュメモリです。すぐに手が届きます。脇卓がメインメモリです。毎回開け閉めをして書類を取り出します。壁にある書庫が補助記憶装置と考えましょう。

■Q.問題です。PCの絵を描いて、記憶装置がどれになるか書き込みましょう。
CPU内のレジスタ、キャッシュメモリ、メインメモリ(主記憶)、補助記憶装置(HDDとUSBメモリ)を記載してください。
以下に、具体的な図があるので、イメージしやすいか
https://121ware.com/navigate/application/prevent/useful/20160405/index.html

2.メインメモリとキャッシュメモリ

 キャッシュメモリとは,主記憶とCPUの間に置く高速アクセスが可能なメモリです。主記憶から読み出したデータをキャッシュメモリに保持し,  CPUが後で同じデータを読み出すときのデータ転送を高速に行うことができます。
a

3.磁気ディスク(1)磁気ディスクについて
磁気ディスクとは、磁性体の粉を円盤のディスクに塗ったもの。PCのハードディスクと考えましょう。
以下に分かりやすい写真があります。
http://www.pasonisan.com/pc-parts/hdd.html

・データを記録するのは、同心円上に並んだトラックです。
・トラック、セクタのトラックとは、陸上競技のトラックと同じ
・磁気ヘッドがSとN極を変化させ磁気を与える。SSのならびを1、SとNのならびを0として記憶させる。読み込むのも同じ
・磁気ディスクと磁気ヘッドは数ナノメートルの距離しか離れておらず、壊れやすい。

(2)アクセス時間
・アクセス時間=位置決め時間+回転待ち時間+データ転送時間
・回転待ち時間  たとえば、回転数が6000回転/分であれば、1秒で100回転。1回転10ミリ秒。平均するために2で割ると、5ミリ秒が平均回転待ち時間。
・データ転送時間は、データ量をデータ転送速度で割る。

H26春FE午前
問12 磁気ディスク装置の性能に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア アクセス時間は,回転速度を上げるか位置決め時間を短縮すると短くなる。
イ アクセス時間は,処理装置の前処理時間,データ転送後の後処理時間も含む。
ウ 記憶容量は,トラック当たりの記憶容量と1シリンダ当たりのトラック数だけで
 決まる。
エ データ転送速度は,回転速度と回転待ち時間で決まる。

(3)アクセス時間とサイクル時間
アクセス時間+再読み込み時間=サイクルタイム
再読み込み時間とは、読み書きの指令を受けて、実行し、次の読み書きができる状態になるまでに必要な時間です。たとえば、DRAMにおけるリフレッシュの時間などもその一つでしょう。

(4)ディスクキャッシュ
キャッシュメモリと同様に、CPUから磁気ディスクへの読取りを早くするために、主記憶上にディスクキャッシュというキャッシュを持つことがあります。これにより、磁気ディスクにアクセスする回数を減らせます。
※キャッシュメモリはCPUの中、ディスクキャッシュは主記憶装置の中にあるのが違いです。

4.記憶装置の過去問を解いてみよう

(1)H29秋

(H25秋AP問11と同じ)
問11 容量が a Mバイトでアクセス時間が x ナノ秒の命令キャッシュと,容量が b Mバイトでアクセス時間が y ナノ秒の主記憶をもつシステムにおいて,CPUからみた,主記憶と命令キャッシュとを合わせた平均アクセス時間を表す式はどれか。ここで読み込みたい命令コードがキャッシュに存在しない確率を r とし,キャッシュ管理に関するオーバヘッドは無視できるものとする。
H29a-問11





【正解】イ

(2)H29秋

問20 SRAMと比較した場合のDRAMの特徴はどれか。
ア 主にキャッシュメモリとして使用される。
イ データを保持するためのリフレッシュ又はアクセス動作が不要である。
ウ メモリセル構成が単純なので,ビット当たりの単価が安くなる。
エ メモリセルにフリップフロップを用いてデータを保存する。





【正解】ウ

(3)H29春

問11 15 M バイトのプログラムを圧縮した状態でフラッシュメモリに格納している。プログラムの圧縮率が40%,フラッシュメモリから主記憶への転送速度が20Mバイト/秒であリ,1Mバイトに圧縮されたデータの展開に主記憶上で0.03秒が掛かるとき,このプログラムが主記憶に展開されるまでの時間は何秒か。ここで,フラッシュメモリから主記憶への転送と圧縮データの展開は同時には行われないものとする。

ア 0.48     イ 0.75     ウ 0.93     エ 1.20
イメージが湧きにくい場合は、図にするといいでしょう。つたない図ですが、たとえば、以下になります。
f:id:mamori_yuto:20190205102346j:plain
15 M バイトのプログラムを圧縮率40%で圧縮しているので、ファイルサイズは15M×0.4=6M
①転送にかかる時間
6Mバイトのファイルを、転送速度(20Mバイト/秒)で転送するので、時間は6÷20=0.3秒
②圧縮されたデータの展開にかかる時間
1Mの展開に、0.03秒かかるので、6Mバイトであれば、6×0.03=0.18秒
①と②を合計すると、0.3秒+0.18秒=0.48秒
【正解】ア

(4)H28春

問21 DRAMの説明として,適切なものはどれか。
ア 1バイト単位でデータの消去及び書込みが可能な不揮発性のメモリであり,電源遮断時もデータ保持が必要な用途に用いられる。
イ 不揮発性のメモリでNAND型又はNOR型があり,SSDに用いられる。
ウ メモリセルはフリップフロップで構成され,キャッシュメモリに用いられる。
エ リフレッシュ動作が必要なメモリであり,PCの主記憶として用いられる。





【正解】エ

(5)H27秋

問10 MMU(Memory Management Unit)の説明として,適切なものはどれか。
ア CPUからのページフォールドを受けて,物理ページのスワップを行う。
イ CPUが指定した仮想アドレスを物理アドレスに対応させる。
ウ OSの一部分であり,キャッシュ制御機能及びバス調整機能を有する。
エ 主記憶のデータの一部を保持し,CPUと主記憶の速度差を吸収する。





【正解】イ

(6)H25秋

問22 SRAMと比較した場合のDRAMの特徴はどれか。
ア 主にキャッシュメモリとして使用される。
イ データを保持するためのリフレッシュ又はアクセス動作が不要である。
ウ メモリセル構成が単純なので,ビット当たりの単価が安くなる。
エ メモリセルにフリップフロップを用いてデータを保存する。





【正解】ウ