1.CRC

CRCは、「送信側では、生成多項式を用いて検査対象のデータから検査用のデータを作り、これを検査対象のデータに付けて送信する(H16NW午前問31)」ものです。

2.CRCの過去問 

CRCに関して、ここ最近の応用情報技術者試験では、あまり問われていません。
(1)H21春AP午前問4

問4 誤り検出方式であるCRCに関する記述として,適切なものはどれか。
ア 検査用のデータは,検査対象のデータを生成多項式で処理して得られる1ピットの値である。
イ 受信側では,付加されてきた検査用のデータで検査対象のデータを割り,余りがなければ送信が正しかったと判断する。
ウ 送信側では,生成多項式を用いて検査対象のデータから検査用のデータを作り,これを検査対象のデータに付けて送信する。
エ 送信側と受信側では,異なる生成多項式が用いられる。




正解:ウ

(2)H22秋FE午後問3

問3 CRC(巡回冗長検査)に関する次の記述を読んで,設問1~3に答えよ。
 CRCは,誤り検出方式の一つである。送信側でデータに誤り検出符号(以下,符号という)を付加して送信し,受信側で検査することによって,転送の際の誤りの有無を判断する。

設問1 次の記述中の[    ]に入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。
 CRCを採用したパケット転送システムでは,送信側でパケットに符号が付加され,受信側で誤りの有無を検査する。受信側で誤りが検出されると,送信側に対して該当パケットの再送を要求する。100個のパケットに格納されたデータの転送において,受信側が実際に受信したパヶツトが,再送されたパケットも含めて[    ]個であったとすると,受信したパケットの20%から誤りが検出されたことになる。ここで,送信したパケットは必ず相手に届くものとする。また,パケットの再送要求は誤りなく届き,再送要求には必ず応じるものとする。

解答群
ア 100    イ 102    ウ 120    エ 125

正解は、エです。

設問2 次の記述中の[    ]に入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。

 任意の長さのビット列の符号を求める計算手順を次に示す。ここで,符号の長さはnビットとする。

〔nビットの符号を求める計算手順〕
 (1)左端及び右端のビットが1である(n +1)ビットのビットパターン(以下,マスクという)を定める。
 (2)符号計算対象のビット列の右端にnビットの0を付加したビット列を作る。
 (3)(2)で作ったビット列に対して次の操作を行う。
  ① ビット列の左端から調べ,最初に値が1であるビットの位置pを見つける。
  ②pを左端としp+nを右端とする部分ビット列に対し,マスクで排他的論理和(XOR)を取る。
  ③ ビット列の右端nビット以外がすべて0になるまで,①及び②を繰り返す。
 (4)(3)の操作で得られたビット列の右端nビットが符号となる。

  図に,マスクが101のときの符号(2ビット)を計算する例を示す。

22-FE問3-1

  図 マスクが101のときの符号(2ビット)を計算する例

 マスク101で計算した,符号計算対象のビット列0010 0110の2ビットの符号は[    ]である。

解答群
ア 00    イ 01    ウ 10    エ 11

正解は、イです。

設問3 次の記述中の[    ]に入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。

  誤りの有無の検査は,次の手順で行う。

 〔誤りの有無の検査手順〕
(1)受信したビット列に対して,送信側で符号の計算に利用したものと同じマスクを使い,〔nビットの符号を求める計算手順〕の(3)と同じ処理を行う。
(2)右端nビットの値によって,誤りの有無を判断する。

 受信したビット列(符号が付加されたビット列)を,誤りの有無の検査手順に従って検査すると,誤りがなければ最後に残った右端nビットの値は[    ]になる。このことは次の手順で説明できる。

〔手順〕
(1)符号計算対象のビット列を一つの数値Dと見ると,符号Cは次の式で表せる。
22-FE問3-2
(2)〔誤りの有無の検査手順〕で得られた結果の右端nビットの値Tは,次の式で表せる。
22-FE問3-3

(3)式②を変形すると次の式となる。
22-FE問3-4

(4)式①と式③によって,
    [  b  ]=T
となる。

 マスク101で計算した符号を右端に付加したビット列1001001101を受信した。このピット列には[  c  ]。

aに関する解答群
ア すべてのビットが0  
イ すべてのビットが1
ウ 符号と同じ
エ 符号の各ビットを反転させたものと同じ

bに関する解答群
22-FE問3-5

cに関する解答群
ア 誤りが含まれる
イ 誤りは含まれない
ウ 誤りが含まれるか否かは判断できない




正解は、

a ア
b エ
c ア です。

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コンピュータの構成要素については、設問で直接問われることはあまりありません。問われるのはディスプレイくらいです。
ですが、ここで登場するキーワードは知っている前提で使われます。コンピュータの全体像を説明するのに必要でしょうから、シラバスのキーワードをもとに簡単に解説します。 

1.コンピュータの構成要素

コンピュータは、5つの装置で構成されます。具体的には、演算装置,制御装置,記憶装置,入力装置,出力装置です。

装置

装置の例

解説

入力装置

キーボード、マウス、スキャナ、カメラ(PC内蔵など)、バーコードリーダ、OCR、外付けのICカードリーダ

コンピュータに対して、文字や数字およびクリックする行為などの情報を入力する装置

演算装置

プロセッサ(CPU

計算処理やプログラムを実行する装置

制御装置

他の装置からの命令を受け取ったり、逆に送ったりするなど、コンピュータを制御する装置

記憶装置

メモリ、ハードディスク、USBメモリ、SDカード

コンピュータが処理する情報を記憶する装置

出力装置

ディスプレイ、プリンタ

コンピュータが出す情報を表示したり、紙媒体などに印刷して出力する装置

■Point
5つの装置の中で、演算装置・制御装置であるCPUと、記憶装置のメモリの出題頻度は高く、詳しく問われます。このあとの節で解説します。入力装置に関する出題は過去には無く、出力装置に関しては、ディスプレイに関して少しだけ問われます。よって、ディスプレイに関して、このあと解説します。

2.ディスプレイ

①CRTディスプレイ
 液晶ディスプレイが普及する以前は、多くのパソコンのディスプレイとして利用されていた、奥行きが大きなディスプレイです。
②液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)
薄型かつ消費電力が少ないディスプレイで、赤、緑、青のカラーフィルタによって色を表現します。
液晶とは結晶の液状のもの。液になっているので、薄く伸ばせる。この液晶をガラス盤に入れているので、液晶テレビは薄い

③有機ELディスプレイ
 薄型かつ消費電力が少ないディスプレイで、電圧をかけると発光する発光素子に有機化合物を用います。

その他、最近は少なくなったようですが、プラズマディスプレイもありましたね。

3.コンピュータに関する過去問を解いてみよう

■H28春AP問11 

問11 液晶ディスプレイ(LCD)の特徴として,適切なものはどれか。
ア 電圧を加えると発光する有機化合物を用いる。
イ 電子銃から発射された電子ビームが蛍光体に当たって発光する。
ウ 光の透過を画素ごとに制御し,カラーフィルタを用いて色を表現する。
エ 放電によって発生する紫外線と蛍光体を利用する。




アは有機ELディスプレイ、イはCRTディスプレイです。

正解:ウ


■H27秋AP問11

問11 有機ELディスプレイの説明として,適切なものはどれか。
ア 電圧をかけて発光素子を発光させて表示する。
イ 電子ビームが発光体に衝突して生じる発光で表示する。
ウ 透過する光の量を制御することで表示する。
エ 放電によって発生した紫外線で,蛍光体を発光させて表示する。




イはCRTディスプレイ、ウは液晶ディスプレイです。

正解:ア

 

■H18春AD午前問4

問4 液晶ディスプレイの特徴はどれか。
ア CRTディスプレイよりも薄く小型であるが,消費電力はCRTディスプレイよりも大きい。
イ 液晶自身は発光しないので,バックライト又は外部の光を取り込む仕組みが必要である。
ウ 同じ表示画面のまま長時間放置すると,焼付きを起こす。
エ 放電発光を利用したもので,高電圧が必要となる。




アは、CRTディスプレイよりも薄く小型であるところは液晶ディスプレイの特徴です。しかし、消費電力の部分が違います。液晶ディスプレイの方が消費電力が少ないのが特徴です。
ウはCRTです。

正解:イ

 

 

記憶装置には、CPU内のレジスタ、キャッシュメモリ、メインメモリ(主記憶)、補助記憶装置(HDDなど)があります。試験で最も問われるのは、この中のキャッシュメモリとメインメモリです。※レジスタはCPUの中にある(小容量の)記憶装置と考えましょう。 

1.記憶装置とは

 コンピュータで利用される記憶装置には、主記憶装置と補助記憶装置があります。主記憶装置の代表例は主記憶(メインメモリ)です。主記憶装置は、プログラムやデータを一時的に記憶するためのものです。
補助記憶装置の代表例は、ハードディスクやUSBメモリがあります。これらは、電源を切った後もデータが保存されますので、長期にデータを記憶・保存することが可能です。
以下に、両者の違いを整理します。

 

概要

記憶装置の例

速度

価格

主記憶装置

CPUと直接アクセスできる記憶装置

・主記憶(メインメモリ)に使われるDRAM

・キャッシュメモリに使われるSRAM

速い

 

高い

 

補助記憶装置

CPUとは直接アクセスできない記憶装置(主記憶装置以外の記憶装置のこと)

・ハードディスク(磁気ディスク装置)

USBメモリ(フラッシュメモリ)

遅い

安い

※主記憶(メインメモリ)、キャッシュメモリ、DRAM、SRAMの言葉はこのあとに解説
 CPU,主記憶、補助記憶の関係は、机の上での仕事に置き換えられる例を見た人が多いでしょう。
皆さん、机の上で仕事をしますよね。皆さんの頭脳がCPUです。
メモリは机や書庫です。机の上に書類や資料を置きます。
机の上がキャッシュメモリです。すぐに手が届きます。脇卓がメインメモリです。毎回開け閉めをして書類を取り出します。壁にある書庫が補助記憶装置と考えましょう。

■Q.問題です。PCの絵を描いて、記憶装置がどれになるか書き込みましょう。
CPU内のレジスタ、キャッシュメモリ、メインメモリ(主記憶)、補助記憶装置(HDDとUSBメモリ)を記載してください。
以下に、具体的な図があるので、イメージしやすいか
https://121ware.com/navigate/application/prevent/useful/20160405/index.html

2.メインメモリとキャッシュメモリ

 キャッシュメモリとは,主記憶とCPUの間に置く高速アクセスが可能なメモリです。主記憶から読み出したデータをキャッシュメモリに保持し,  CPUが後で同じデータを読み出すときのデータ転送を高速に行うことができます。
a

3.磁気ディスク(1)磁気ディスクについて
磁気ディスクとは、磁性体の粉を円盤のディスクに塗ったもの。PCのハードディスクと考えましょう。
以下に分かりやすい写真があります。
http://www.pasonisan.com/pc-parts/hdd.html

・データを記録するのは、同心円上に並んだトラックです。
・トラック、セクタのトラックとは、陸上競技のトラックと同じ
・磁気ヘッドがSとN極を変化させ磁気を与える。SSのならびを1、SとNのならびを0として記憶させる。読み込むのも同じ
・磁気ディスクと磁気ヘッドは数ナノメートルの距離しか離れておらず、壊れやすい。

(2)アクセス時間
・アクセス時間=位置決め時間+回転待ち時間+データ転送時間
・回転待ち時間  たとえば、回転数が6000回転/分であれば、1秒で100回転。1回転10ミリ秒。平均するために2で割ると、5ミリ秒が平均回転待ち時間。
・データ転送時間は、データ量をデータ転送速度で割る。

H26春FE午前
問12 磁気ディスク装置の性能に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア アクセス時間は,回転速度を上げるか位置決め時間を短縮すると短くなる。
イ アクセス時間は,処理装置の前処理時間,データ転送後の後処理時間も含む。
ウ 記憶容量は,トラック当たりの記憶容量と1シリンダ当たりのトラック数だけで
 決まる。
エ データ転送速度は,回転速度と回転待ち時間で決まる。

(3)アクセス時間とサイクル時間
アクセス時間+再読み込み時間=サイクルタイム
再読み込み時間とは、読み書きの指令を受けて、実行し、次の読み書きができる状態になるまでに必要な時間です。たとえば、DRAMにおけるリフレッシュの時間などもその一つでしょう。

(4)ディスクキャッシュ
キャッシュメモリと同様に、CPUから磁気ディスクへの読取りを早くするために、主記憶上にディスクキャッシュというキャッシュを持つことがあります。これにより、磁気ディスクにアクセスする回数を減らせます。
※キャッシュメモリはCPUの中、ディスクキャッシュは主記憶装置の中にあるのが違いです。

4.記憶装置の過去問を解いてみよう

(1)H29秋

(H25秋AP問11と同じ)
問11 容量が a Mバイトでアクセス時間が x ナノ秒の命令キャッシュと,容量が b Mバイトでアクセス時間が y ナノ秒の主記憶をもつシステムにおいて,CPUからみた,主記憶と命令キャッシュとを合わせた平均アクセス時間を表す式はどれか。ここで読み込みたい命令コードがキャッシュに存在しない確率を r とし,キャッシュ管理に関するオーバヘッドは無視できるものとする。
H29a-問11





【正解】イ

(2)H29秋

問20 SRAMと比較した場合のDRAMの特徴はどれか。
ア 主にキャッシュメモリとして使用される。
イ データを保持するためのリフレッシュ又はアクセス動作が不要である。
ウ メモリセル構成が単純なので,ビット当たりの単価が安くなる。
エ メモリセルにフリップフロップを用いてデータを保存する。





【正解】ウ

(3)H29春

問11 15 M バイトのプログラムを圧縮した状態でフラッシュメモリに格納している。プログラムの圧縮率が40%,フラッシュメモリから主記憶への転送速度が20Mバイト/秒であリ,1Mバイトに圧縮されたデータの展開に主記憶上で0.03秒が掛かるとき,このプログラムが主記憶に展開されるまでの時間は何秒か。ここで,フラッシュメモリから主記憶への転送と圧縮データの展開は同時には行われないものとする。

ア 0.48     イ 0.75     ウ 0.93     エ 1.20
イメージが湧きにくい場合は、図にするといいでしょう。つたない図ですが、たとえば、以下になります。
f:id:mamori_yuto:20190205102346j:plain
15 M バイトのプログラムを圧縮率40%で圧縮しているので、ファイルサイズは15M×0.4=6M
①転送にかかる時間
6Mバイトのファイルを、転送速度(20Mバイト/秒)で転送するので、時間は6÷20=0.3秒
②圧縮されたデータの展開にかかる時間
1Mの展開に、0.03秒かかるので、6Mバイトであれば、6×0.03=0.18秒
①と②を合計すると、0.3秒+0.18秒=0.48秒
【正解】ア

(4)H28春

問21 DRAMの説明として,適切なものはどれか。
ア 1バイト単位でデータの消去及び書込みが可能な不揮発性のメモリであり,電源遮断時もデータ保持が必要な用途に用いられる。
イ 不揮発性のメモリでNAND型又はNOR型があり,SSDに用いられる。
ウ メモリセルはフリップフロップで構成され,キャッシュメモリに用いられる。
エ リフレッシュ動作が必要なメモリであり,PCの主記憶として用いられる。





【正解】エ

(5)H27秋

問10 MMU(Memory Management Unit)の説明として,適切なものはどれか。
ア CPUからのページフォールドを受けて,物理ページのスワップを行う。
イ CPUが指定した仮想アドレスを物理アドレスに対応させる。
ウ OSの一部分であり,キャッシュ制御機能及びバス調整機能を有する。
エ 主記憶のデータの一部を保持し,CPUと主記憶の速度差を吸収する。





【正解】イ

(6)H25秋

問22 SRAMと比較した場合のDRAMの特徴はどれか。
ア 主にキャッシュメモリとして使用される。
イ データを保持するためのリフレッシュ又はアクセス動作が不要である。
ウ メモリセル構成が単純なので,ビット当たりの単価が安くなる。
エ メモリセルにフリップフロップを用いてデータを保存する。





【正解】ウ

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